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文協選挙・マニフェストを問う=三つ巴の戦い~統一シャッパはあるか=連載(1)=「アイデアと心の繋がりを」=小川彰夫編

2007年4月25日付け

 三つ巴になった今回の選挙。〇五年の選挙と同様と揶揄する声もあるが、真っ向から対立した前回と違うのは、〃意に反して〃の結果だということだ。ここは派閥の権力闘争にするのではなく、決選投票に最後の望みを繋ぎたい。三派の中心人物にインタビューし、それぞれのマニフェストを紹介するとともに、統一シャッパの可能性を模索することを本企画の趣旨とする。ひいては来年の百周年に向け、大局的見地に立ったコロニア大同団結のきっかけに資すことを期待したい。
       
◆文協の役割は
 「文協はコーディネーターであるべき」。
 国士舘さくら祭りの運営を、地元文協に任せることで活性化、W杯の日本・ブラジル戦では、「COPA NO BUNKYO」を企画、日伯マスコミを呼び込むなど、今までなかった形での文協を副会長として四年間、アピールしてきた自負がある。
 ある地方文協で開口一番「あなた方をリーダーとは認めていない」と言われ、地方との連携方法を模索してきた。
 もし、会長になったならばー、最初に着手するのは文協ネット強化だという。
 「かつてコチア、南銀があったとき、全伯とのつながりは自然にあった。その役割を文協がすべき」と断言する。
 「今の文協に足りないものは、アイデアと心の繋がり」。牽引役としてではなく、対日本、全伯各文協の窓口になってこそ、文協の価値が認められる、と文協の未来像を掲げる。
 ブラジル日本移民史料館とブラジル内の大学を繋げることで、日本移民の歴史の研究を掘り下げることができるのでは、とも。
 「文協だからできることを探すのがこれからのテーマ」。新生文協作りへの思いは熱い。
◆自シャッパの評価
 他候補のシャッパとは違い、団体、企業を入れたことが、大きな特色だ。
 「十人の個人によるものではなく、数十の文協、数千人からなるシャッパ自体がすでにコンセプト」と自信を見せる。
 〃日系力〃のあるレジストロ、九文協の連合体であるモジの両文協、リベルダーデを重視した日系パラセ・ホテル、全伯農協二十三を傘下に収める農拓協を副会長団体に。
 「リベルダーデ文協」と揶揄され、地方との連携が文協改革から命題とされてきたことを踏まえ、地方直接参加型執行部を目指す。
 「『どうやって会議をやるんだ』って声もあるけど、ネットで映像を写して会議はできる。それが記録に残るしね。でもそういうのは、技術的な問題。『自分の文協』と思ってくれる仲間を増やすことが第一」と話す。
◆統一シャッパの可能性
 「はっきり言ってない」そう断言し、続ける。
 「上原会長が出なかったことがまとまらなかった原因。二期の副会長が誰一人今回のシャッパに残っていないのは何故か」と上原体制の成果にも疑問を投げかける。
 渡部氏が提案する四副会長による合議制は、「そういう頭の中で出来上がったアイデアがコロニアを割ってきたのでは」と手厳しい。
 二十三日朝に下本八郎氏から、シャッパを取り下げるよう要請があったことを明かし、言下に断ったという。
 「コロニアが割れるっていうけど、この選挙は文協という組織を経営する人を探していると自分は理解している。今の体制、今までのやり方ではダメ。内部から四年間見ていたから分かります」 
 評議員にとって各派の考えが分からない現状を危惧、選挙当日投票前にそれぞれ十分間のスピーチができるよう選挙管理委員会に提案する考えだ。
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 やる気もある。アイデアもある。一連の選挙活動では、洞ヶ峠を極めこんだようにも見えたが、最終的にシャッパを提出、決選投票という選択肢を加えた。
 前回の選挙では、小川氏の動向が勝敗を決めた。今回、派閥も明らかにしなかったこともあり、他派も一歩引いて見ていた感がある。
 元来、〃一匹狼〃のイメージがあったが、それを覆す団体シャッパに対する下馬評は、意見の分かれるところだ。
 決選投票については、「今の段階では、何も言うことはできない。『風見鶏』と言われているようだから、そのようにしましょう」と煙に巻きつつ、もし当選したら―、との質問には、「もちろん、他のシャッパの人に手伝ってもらいます」と即答した。
(堀江剛史記者)