2007年4月25日付け
ひょんなことから、ある夫妻を取材する機会があった。一九六五年の海上自衛隊練習艦隊来伯をきっかけに結婚した乗員の男性と、ブラジル生れの二世の女性だった。
先の戦争で中絶した日本移民の歴史。前回から四十年以上、戦後では初めてとなった日本の艦隊来伯を、在伯邦人、特に戦前の一世はどのような思いで迎えただろうか。
当時の邦字紙によれば、三万ともいわれる出迎えがサントスの埠頭を訪れたという。実際に訪れた人によれば、ミナス、麻州などからもバスが来ていたそうだ。
夫妻の取材が記事になって数日後、サンパウロ市内の男性から電話をもらった。聞けば、かつて夫人の一家と同じバイロに住んでいたという。「覚えていたら、会いたいのです」と話していた。
四十年前の事に触れた記事が、一読者の記憶を呼び起こす。不思議な巡り合わせを感じた。(ま)