2007年4月26日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】政府は二十四日、自然環境保護院(IBAMA)を開発許可部と生態系管理部に二分することを決定した。サルネイ政権以来の懸案であった水源対策も、都市開発と環境対策の二面で対処する局がそれぞれ設置される。シウヴァ環境相は二十五日、ルーラ大統領の要請に基づき環境省改革案を環境審議会(CONAMA)へ提出。同措置は経済活性化計画(PAC)の基礎となるマデイラ河水力発電所の建設が頓挫したことで、大統領府が環境省に機能改善を迫ったもの。
ルーラ大統領は、ナマズ保護のためにブラジルの経済開発が後手になっていたと述べた。環境省の機構改革で、産業開発を専門に扱う新しい局が設けられることになった。これは閉鎖された営林局や水産資源局の復活とされ、水源管理局が新しく加わる。
経済活性化計画(PAC)の必須条件とされるエネルギー確保が頓挫していたことで、環境管理への大統領介入となった。二〇〇一年に起きたエネルギー危機の教訓を踏まえ政府は、二〇〇億レアルの予算を計上し、マデイラ河の発電所二カ所の建設に備えた。それが眠っていたのだ。
必要なエネルギーを確保できれば、ブラジルの産業は十分発展できる可能性がある。それがナマズのために泣き寝入りした。環境省の許可トラブルから見れば、マデイラ河発電所はほんの一例である。多くの投資家はPACへの投資に疑問を抱いていた。
同発電所の建設許可が環境省により事実上棄却されたことで、大統領はランゴーニ環境次官とバーロスIBAMA総裁の更迭を考えた。この人事異動でドゥトラ氏配下のリオ・グランデ・ド・スル勢は、ほとんどが環境省から更迭された。
経済発展よりも役職獲得に懸命なハイエナたちは、環境省に生じる空席に食指を動かしている。いま注目されているのは干ばつ対策局(DNOCS)。労働者党(PT)とブラジル民主運動党(PMDB)の間で水面下の熾烈な戦いを展開中。PTの旗頭はベルゾイーニ党首。海千山千のPMDBは、ゲデル国家統合相が頭目である。
PACのもう一つの目玉「長期計画省」の新設で長期計画大臣に招かれたのが、マンガベイラ・ウンジェル教授。長期計画省は「将来どうなるので省」と皮肉られた問題省である。同教授は一生懸命PT批判を上梓したが、大臣の呼び声がかかると原稿をゴミ箱に捨てた。サイトから辛辣なPT批判も消えた。
同教授は現在、ハーバード大学で教鞭をとる。大臣の就任挨拶では、ゴマをするに違いない。〇五年の裏金疑惑ではPT政権を汚職政権と呼び、ルーラ大統領は民主政治に懐疑の毒物を投じたとして弾劾を叫んだ張本人である。当の大統領は怨念など持たぬという。
めったに発言しない副大統領の提案に従い、同教授の起用を考えたと大統領は述懐した。同教授は弾劾を叫べば国民が決起すると思ったらしいが、誤算だっただけという。長期計画省は経済戦略を研究する応用経済研究所(IPEA)を傘下に納め、経済発展をけん引する機関として期待しているらしい。