2007年4月26日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】セーラサンパウロ州知事は二十四日、サンパウロ州内を対象に独自の最低賃金を定めることを明らかにした。これまでは政府が決定する最賃をそのまま適用してきたが、それを上回る改善策となっている。
現行の最賃は政府決定で三八〇レアルとなっているが、州政府はこれを最低で四一〇レアル、最高で四九〇レアルに引き上げる意向を示している。価格の適用は職業により区別されるが、対象は民間企業で最も特典が与えられるのは商業の従業員としている。サービス部門も対象となっている。しかし公務員や工業部門および銀行は対象外となっている。これらの部門では労使協定で最低額が設置されており、見直しは必要ないと判断された。
州政府が独自の最賃額を採択するのはこれまでリオデジャネイロ、パラナ、リオ・グランデ・ド・スルの三州が行ってきたが、いずれも統一価格で、職種によって区別するのはサンパウロ州が初めての試みとなる。
今回のセーラ知事の決定は、二〇一〇年の統一選挙を視野に入れたことは衆目の一致するところで、いよいよ始動したかという感じで受け止められている。
最賃改善策は同知事が就任以来温存してきた腹案で、五月一日の労働者の日を機に発表した。この狙いは貧困層の支持を拡大するのが狙いで、いっぽうで所属するブラジル民主社会党(PSDB)がエリート集団とされているイメージをチェンジさせることも目的としている。
なかでも貧困層の多くが就職している商業やサービス部門の最賃を引き上げ、さらに正規雇用を浸透させて安定収入を図ることを懐柔策としている。
この州条例は州議会の承認が必要なため、州政府は二十五日、議会に上程した。セーラ知事は他党との摩擦を避けるために詳細の発表を控え、政府関係者にかん口令を敷いていた。