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文協選挙・マニフェストを問う=三つ巴の戦い~統一シャッパはあるか=連載(2)=「統一シャッパの可能性はある」=渡部和夫編

2007年4月26日付け

◆評議員会長に立候補
 「義務があるのでは、と考えてのこと」
 改革を陣頭指揮、四年間文協に関わった。「これからも貢献」するため、評議員会長に立候補した。そう呼ばれることに本人も苦笑いする〃黒幕〃の返上宣言だ。
 もちろん、定款の改正で評議員の権限が強くなったことを認識、重視したうえでの決断だ。
 大原毅氏が会長候補に立候補することを固辞したことから、統一シャッパを作る〃最後の立役者〃に渡部氏を推す声も多かったが、「自分の性格上、ふさわしくない」とし、理事会の組織改革を念頭に入れた上原続投シャッパを提出した。
◆理事会の組織改革とは
 「南銀、コチアが会長のバックにいたころとは違う。理事会のシステムが時代に合ってないのでは」と定款改正も視野に入れた合議制(Comite de Coordenadores)の導入を検討する。
 渡部氏の提唱する合議制とは、上原会長はあくまで代表としての〃象徴会長〃となり実行力を持たず、理事会を運営するのは、四人ないし五人の副会長が行う、というものだ。
 つまり、条件付きのシャッパであり、山下ジョルジ、多羅間俊彦、栢野定雄、木多喜八郎の四氏は、この役割を理解したうえで立候補しているという。
◆文協改革は何だったか
 選挙が行われる二十八日の評議員会で改革委員会の廃止についての決議があること、改革以前の執行部メンバーがシャッパに名を連ねていることから、文協改革への成否を問う声もあるが、まとめられた文協改革最終報告書を手に、文化教育連帯協会(ISEC)の設立、福祉団体としての慈善活動を挙げ、評価する。
 さらに史料館の基金化などをこれからの課題に挙げ、「最終的な文協の目的はブラジルの文化を日本に伝えることでは」とも話す。
◆統一シャッパについて 
 「非常に難しい」としながらも、上原〃名誉〃会長のもと、三派で合議制を敷く条件での統一シャッパの可能性は否定しない。
 しかし、その取りまとめ役には、GASの中心メンバーであることを理由に「自分は出来ない」と話す。では誰か――。
 「何度もお願いしたが、理解してもらえなかった」統一シャッパの橋渡し役として高木ラウル氏が適役であった、と残念がる。
 評議員選挙で最多得票、リーダーシップもあるコロニアの新聞社社長がその役割を自任すれば、「彼自身にとっても、日系社会にとっても、それが一番いい形」と話し、「彼にはまだ期待している」と含みを持たせた。      
   ◎   ◎    
 「過去を調べる裁判と違い、将来を考えるのは難しい」と吐露する。
 改革後から〃院政〃と揶揄されながら、上原体制を作ったのが渡部氏であることはコロニア周知の事実。
 渡部氏の評議員会長立候補を受け、高木、「しんせい―」派も急遽、対抗シャッパを提出した。政権奪取後の〃目の上のたんこぶ〃を恐れたからだ。
 票読みに関して、過半数を超えることには、疑問符をつけながらも、「一番多く得票した派がイチシアチブを取ることになる。決選投票になれば、統一シャッパはもっと簡単なのでは」――。 (堀江剛史記者)



文協選挙・マニフェストを問う=三つ巴の戦い~統一シャッパはあるか=連載(1)=「アイデアと心の繋がりを」=小川彰夫編