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伯携帯市場の半分占有=テレフォニカ=伊テレコムを買収=政府、事情調査に乗り出す=固定電話もほぼ独占

2007年5月1日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四月三十日】電話会社テレフォニカのイタリア・テレコム買収によりブラジルの携帯電話市場の五四%が一社独占となることで、コスタ通信相は二十九日、政府が事情調査に乗り出すことを明らかにした。一社が市場の五〇%以上のシェアを握ると、健全な市場の競争原理が崩れ、懸念すべき事態が発生すると、通信相が警告した。同買収交渉の成立でテレフォニカは、テレフォニカ・パウリスタとVivo、TIM、ブラジル・テレコムの経営管理権または経営参加権を取得する。
 欧州で展開されている通信業界の再編合戦は、ブラジルの通信業界にも大きく影響することになった。マドリードのテレフォニカ本社は二十七日、イタリア・テレコムの買収を発表した。同買収によって生じるブラジルでの摩擦に対応する準備にかかったことを、同社が表明した。
 サンパウロ州の固定電話を所有する同社は、ブラジル携帯電話業界最大手Vivoの管理権を有するポルトガル・テレコムと業務提携している。同社に買収されたイタリア・テレコムはブラジル・テレコムの管理権を有し、携帯電話業界第二位のTIMを所有。
 海の向こうで行われた通信業界の再編劇により、ブラジルの携帯電話は五四%が同社に支配されることになった。国内で営業する外国企業に対し、市場の独占化を避けるため政府が何らかの措置を講じることが予想される。
 同社はブラジル政府の理解を得るため、テレフォニカとイタリア・テレコムは、それぞれ独立法人として営業することを表明した。両社の経営評議委員会は、ブラジル市場に物議をかもすような決議をしないと声明を発表した。
 イタリア・テレコムの買収には、メキシコのTelmexや米国のAT&Tなどの通信業者が食指を動かした。しかし、予想より安い価格でテレフォニカが落札した。同社は一株三ユーロ払うつもりでいた。メキシコと米国が二・八二ユーロのオファーを出したため、イタリア・テレコムは同額ならと、欧州系のテレフォニカを選んだ。
 通信部門ばかりではないが、業界の再編は世界的傾向といえる。電信庁(Anatel)は、予想した事態という。しかし、市場独占を目的とした企業合併や買収は連邦令で禁じられている。中南米はスペイン系のテレフォニカとメキシコ系のTelmexが覇を競うが、現時点ではスペイン系が優勢らしい。
 イタリアの銀行グループによって財政支援を受けるテレフォニカが、ブラジルに携帯電話の巨大企業を築き、携帯人口一億二〇〇万の五四%を占めるのは、将来が憂慮されると通信相がいう。これまでの経緯を見ても、企業合併により市場シェアの過半数を占めると必ず問題を引き起した。
 同買収劇が市場の競争原理を歪めて消費者に不利となるのか、利益となるのか政府は検討するという。VivoとTIM両社は独立法人といえども八百長がないとは言い切れない。
 テレフォニカはサンパウロ州の固定電話を押さえ、イタリア・テレコム配下のブラジル・テレコムは南部と中西部、北部の固定電話を管理する。だから同買収は、ブラジルの固定電話をほぼ独占することになる。