2007年5月1日付け
上原体制、三期目へ――。四月二十八日、ブラジル日本文化福祉協会の評議員会で行われた理事会選挙では、投票権のある百六人の評議員中、百五人(委任状十三、白票四)が投票、上原幸啓氏を会長とするシャッパ「統合」(Integracao)が五十二票を獲得、続投を決めた。高木ラウル氏を会長とするシャッパ「統一と発展」(Unidade e Evolucao)は三十七票、小川氏を会長とするシャッパ「連合」(Uniao)は十二票とそれぞれ善戦したが、わずか一票の差で決選投票とはならず、涙を飲んだ。評議員会選挙、監査役会選挙共に現体制派が過半数を押さえ、文協の保守路線を明確にする選挙結果となった。
上原会長は、「スムーズに選挙が行われたことを嬉しく思う。百周年もあるので忙しくなる。他のシャッパの人たちにも協力をお願いしていくつもり」と〃統一理事会〃を作っていきたい考えを示した。
決選投票を視野に入れ、地方文協とタッグを組んだものの、得票は思ったよりも伸び悩んだ、と小川氏。
「変えなければいけないと感じつつも、現体制を支持するというのはどうか」とコロニアの保守的性格を批判した。新体制への協力に対しては、「上原氏ではダメだと言ってきた。今は手伝うつもりはない」とし、一評議員として意見を述べていく考えを示した。
高木氏は、「ガッカリした。この小さい枠での選挙がこんなに難しいとは」と話しつつも、「(今回当選した)先生たちはよほど肩書きが欲しいのでは。ともかく百周年が終わっても文協は続くので頑張ってやってもらいたい」と悔しさを滲ませながらもエールを送った。
評議員会長に就任した渡部氏は選挙後のあいさつで、ほぼ百パーセントの選挙投票率を「文協改革の結果」と評価。「文協を名実共に日系社会全体のリーダーにするべく、合議制を敷く理事会と、評議員会を調和させ、頑張っていきたい」と力強く語った。
一方、敗れた酒井清一氏は選挙後の取材に、「おめでとうございます」と渡部氏を祝福、「力を入れたわけでなく、成り行きで立候補した。この次の機会に生きていたら、よく勉強してやりたい」と飄々と語った。
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第一回評議員会の会場となった文協ビル展示室は、異様な熱気を見せた。
午前八時から、出席者が会場となった文協ビル展示室に行列を作り、投票権のある百六人の評議員のうち、サンスイを除く全員が投票、各派支援者ら約百五十人が評議員会に出席するという前代未聞の状況に。
選挙前に、事業、決算報告が行われたが、INSS問題など文協が抱える問題などについて厳しい意見も飛び出し、図らずも次期執行部への課題が確認される結果となった。
小川氏は、「各派のマニフェストが理解されていない」ことを理由に、各会長候補が十分間の選挙演説を行うことを提案。これに対し、渡部和夫氏がブラジルの選挙法では、投票前二十四時間以内に選挙活動の禁止条項があることを説明、評決の結果、否決された。
理事会、評議員会、監査役会の投票を一緒に行うことが決議され、会場内に置かれた投票箱前に列が並んだ。
選挙管理委員会のミナミ・イサオ委員により、読み上げられた選挙結果は、次の通り。
【理事会選挙】
◎「Integracao(統合)」シャッパ(会長・上原幸啓)=五十二票
◎「Unidade e Evolucao(統一と発展)」シャッパ(会長・高木ラウル)=三十七票
◎「Uniao(連合)」シャッパ(会長・小川彰夫)=十二票
◎白票=四票
選挙規定第五章第三二条、「白紙票を除いた有効票の過半数」により、当選が決定している。
【評議員会選挙】
◎「Integracao(統合)」シャッパ(会長・渡部和夫)=五十八票
◎「Unidade e Evolucao(統一と発展)」シャッパ(会長・酒井清一)=三十九票
◎白票・無効票=八票
【評議員監査役会選挙】
◎「Integracao(統合)」シャッパ=五十七票
◎「Unidade e Evolucao(統一と発展)」シャッパ=四十票
◎白票・無効票=七票
合計百四票だが、文協事務局では、一人が投票しなかったものと判断している。
【理事会選挙】
役職 氏名 主な公職 会長 上原 幸啓 サンパウロ大学教授 第一副会長 山下ジョルジ 元文協副会長 第二副会長 多羅間 俊彦 東京都友会名誉会長 第三副会長 栢野 定雄 ニッポン・カントリー理事長 第四副会長 木多 喜八朗 希望の家福祉協会理事長 第五副会長 重田エルゾ 前文協前任理事 第六副会長 田中エミリア ブラジル生け花協会会長 第七副会長 白石マルセロ 元青年文協会長 専任理事 花城アナクレット 前文協常任理事 財務理事 清水オリジオ スダメリス銀行取締役
【評議員選挙】
役職 氏名 主な公職 会長 渡部 和夫 元サンパウロ州高裁判事、現文協顧問 第一副会長 大原 毅 前評議員会長 第二副会長 二宮 正人 元文協副会長、弁護士 第三副会長 ヴィルマ・モッタ 前文協理事 第一書記 原田 清 弁護士 第二書記 頃末アンドレ 前文協理事 第三書記 佐々木リカルド 弁護士
【評議員監査役会選挙】
役職 氏名 第一監査 青山ルイス 第二監査 高橋ヒロシ 第三監査 原 長門 第一監査補 加藤カルロス 第二監査補 蓮沼 芙美雄 第三監査補 宮崎マウリシオ