2007年5月3日付け
「ポップカルチャー」は、ブラジルでよく知られているような漫画やアニメだけではない――。日本のポップカルチャーをより広く知ってもらうための著書『ジャポップ―日本ポップカルチャーのパワー(JAPOP-O Poder da Cultura Pop Japonesa)』が出版された。著者は、佐藤クリスチアネ・ブラジル漫画家協会会長。同書の出版記念会・講演会が、四月二十五日に国際交流基金サンパウロ日本文化センターで行われ、約三十人が熱心に話に耳を傾けた。
佐藤さんはサンパウロ大学法学部を卒業後、訪日研修を経て、日本ポップカルチャーに関する研究を長年にわたり続けてきた。
「漫画やアニメはポップルチャーの入り口に過ぎない。文化というのは、今のものではなく、ずっと昔からつながってきている。ポップカルチャーもそう」と佐藤さん。「ポップカルチャー」という概念はアメリカで生まれたものだ。社会の近代化にともない、テレビなどのマスコミ媒体を通じて、同じものが同時に広く普及して話題になることを指す。「美術作品のように一つではなく、数多く作り、多数の人が触れるもの。それを文化と考えてます」「ポップカルチャーは皆つながっている。漫画、音楽、アニメ、ゲーム」と説明する。
佐藤さんはまた、音楽なら美空ひばり、舞台では宝塚歌劇団もポップカルチャーになるという。「漫画家・手塚治は宝塚に育ち、その作品は歌劇団の影響を強く受けている」。宝塚歌劇団は近々創立百年を迎えるが、昨今でも年間百二十万人の観客を劇場に迎える、ポップカルチャーの代表でもある。
今回の著書で日本のポップカルチャーを紹介するとともに「この本から、日本人の考え方の違いが分かると思う。美術館の日本ではなく、普通の日本人が毎日見ているものを知ってほしい」と話している。