2007年5月5日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】住宅建設で経済活性化計画(PAC)を推進するため、勤続年限保障基金(FGTS)管財委員会は三日、世帯所得が三九〇〇レアルから四九〇〇レアルまでのクラス向け住宅ローンの年利を、八%から六・五%へ引き下げることにした。これまで住宅ローンの八五%は、世帯所得一九〇〇レアル以下向けであった。今回の金利引き下げと融資対象の拡大、力強い建設ブームの到来が予想される。また地方自治体や建設会社は、上下水道工事で容易に融資を取りつけられるようになった。
掛け声ばかりの経済活性化計画(PAC)に突破口を見出そうと、FGTS管財委員会が金利引き下げに動き出した。これまでの庶民住宅向けから、中流階級向けにも対象を広げた。さらに融資制度を簡略化し、地方自治体や土建業者にも便宜を図ることにした。
地方自治体の上下水道工事への融資は、これまでの一〇%から五%へ金利を引き下げ、分割決済とする。土建会社へは年利二五%から二〇%へ引き下げた。今年度予算は三〇億レアルを計上した。発案はルーラ大統領。施行管理と会計監査は管財委員会が行うとルッピ労相が発表した。
FGTSは現在、二五〇億レアルの信用能力を持つマイホーム建設の命綱である。FGTS基金は一一〇億レアルの資産を有し、次いでポウパンサ(貯蓄基金)の九三億レアルという頼もしい存在である。企業経営者は毎月、従業員給与の八・五%を積み立てて、FGTSを運営する。
個人で住宅ローンを組むには、年利六・五%とTR(指標料金)を払えばよい。二〇〇七年度は、すでに四億五〇〇〇万レアルの住宅ローンを組んだ実績がある。金利はこれからも、基本金利の引き下げに合わせて修正される。
今回の措置は、中流階級をも取り込んだ経済活性化の国家的キャンペーンといえる。政府は下層階級の社会政策に力をいれ、中流階級から疎遠になっていた。中流階級は消費力もあり、市場活性化にも頼りになるクラスである。それに債務不履行も少ない。
管財委員会は、新旧の工事計画や保留された工事も含めて、融資金利の引き下げを容認した。下水工事だけなら、六・五%から六%とTR。その他の水道浄化装置や都市美化などの環境関係工事は八%から六%とTRとしている。
不動産債券(CRI)の金融市場における取引は、FGTSの最低利回りに従い、配当金利が年七%プラスTRから六%プラスTRとなる。
建設会社は今回の大統領措置が建設部門を優先したことを歓迎したが、ブラジルは世界一の高金利国であることに変わりはないと不満を洩らした。これまで住宅ローンの対象が世帯所得一九〇〇レアルであり、三最低賃金の一一四〇レアル・クラスにはまだローン金利が高く、マイホームは高嶺の花だという。