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マンションの安全神話崩壊=相次ぐ集団強盗=防犯対策に躍起の住民=評価額にも大きく影響

2007年5月5日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四月二十七日】邸宅やマンションの集団強盗が相次いでいることで、守衛が二十四時間見張っているマンションは安全だとの神話は崩れ、今や住民は防犯に神経をとがらせている。マンション内の防犯カメラは一時期、話題となって登場したが、現在では当然の設備として受け取められている。さらに近代的かつハイテク設備も続々出現、マンションの新規購入者はこれら防犯設備を選択の要にしている。建設業界でも防犯設備のない建物は評価額が下がっていることを認めている。これに加え、マンションの住人も警備専門会社と委託契約を結ぶなどして、自己防衛に乗り出している。
 マンションの新規購入者は通常立地条件、駐車台数、レジャーやスポーツ施設などに加え、防犯カメラの有無を質問する。防犯カメラは今や目新しい存在ではなく常識の枠となってしまった。業界によると住人の関心は防犯に集中していると指摘している。
 建設大手のロッシは過去七年間、「基本的な防犯キット」を取り付けているという。キット(パック)は敷地内(入口、出口、車の出入口、エレベーターやホール)の主要な場所の防犯カメラ、敷地周辺のセンサーの設置に加え車の出入口の鉄製扉、守衛室の防弾ガラスの取付けとなっている。
 さらに所有者の希望があれば様々な防犯機器を設置する。これにより販売価格が五%から一〇%上昇するが、高級住宅になるほどセールスポイントとして評価が高くなり、売れ行きに影響しないという。
 マンションなどの警備専門会社のGR社は全国で活動、サンパウロ市内では南部と西部を中心に五〇〇カ所と委託契約を結んでいるが、防犯設備は一〇〇〇レアルから一〇万レアルとピンからキリまであり、過去十年間で業界は年間二五%から三〇%の驚異的成長を遂げていると指摘している。
 マンション強盗が多発していることで深刻な問題となっている。昨年一月から三月までの件数は三件だったのが今年に入っての三カ月間で九件に上った。これにより警備会社との契約が急上昇した。
 これまでは従業員のみで警備体制を敷いていたが、専門家を入れるところが急増した。住人によると、専門家は常にトレーーニングを積んでおり、新しい知識を仕入れているし、銃器の取扱いも許可されている。このためいくら防犯設備が整っていても操作する人間の知識や心構えがなければ宝の持ち腐れになることが認識された。
 GR社によると、防犯設備や警備員は強盗にとって何の支障にもならないという。強盗一味は狙った地域を二週間から三週間かけて事前に調べて計画するのが常套手段で、近所が被害にあったら自分のマンションも標的になっていると考えても良いとしている。
 このため出入りの際は不審な人物がウロついていないかなど住人全員の協力が必要だという。強盗の狙いは高級マンションでは貴金属類、美術品、自家用車などで、中級層はDVD、ノートブック、コンピューターなど、もちろん現金も当然のことである。

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