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経済活性化計画を総括=政府=3割に問題あり=法案上程から100日経過=推進に向け特別チーム

2007年5月8日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】連邦政府は六日、経済活性化計画(PAC)の法案を上程して一〇〇日目の総括を行ったところ、二点で計画挫折が判明した。まずPACの三〇%が欠陥計画であること。それから上程したPAC九法案のうち、わずか二法案のみが議会で承認されるに留まったこと。大統領府は計画不備の修正を差し置き、経済成長率四・五%の目標達成へ戦略を変更することにした。政府はPAC実施で四・五%の成長率達成を確信していたが、はやくも杜撰なPACのほころびが見え始めた。
 PACはマンテガ財務相の起草になる傑作で、議会承認後は官民総出の投資気運が生まれ、基本金利の引き下げにつながる流れが期待されていた。財務相は二〇〇八年の経済成長率を五%、〇七年末の基本金利を一〇%と確約していた。
 PACは、マルチンス広報局長官やギア憲政相からマクロ経済の流れが変わると称賛されながら舞台に上った。だが欠陥計画三〇%のうち一〇%はトラブルによるもの。二〇%は離陸不可という。自然環境保護院(IBAMA)認可待ちのマデイラ河サントアントニオ発電所とジラウ発電所も、この中に含まれる。
 一月にスタートしたPACは、三月までに総予算一一三億レアルのうち四・五%が交付されただけである。予算管理省によると、資金交付の遅れは財務省の立案不備と修正遅れが原因という。PACは第二次ルーラ政権の命運を賭けた悲願であるのに、関係官庁はモタモタしている。
 PACの頓挫は、財務省の技量不足と環境省の官僚主義が原因といえそうだ。PACの具体化と始動に向け、特務班が設けられた。予算管理相が議会対策、ロウセフ官房長官が細部審査を担当する。他にマルチンス広報長官やナスシメント運輸相、ロンドー鉱動相、フォルテス都市計画相などが召集された。
 まるでライムンド先生のクラスである。同じセリフでサンバのリズムに合わせて、ハーモニーを乱さなければ経済発展のパレードを敢行できるという。
 ルーラ大統領から灸を据えられた環境省は、PAC立案者ではないとして特務班から外された。IBAMAのノロノロ環境審査は、大統領にとって頭痛の種になっている。IBAMAの官僚主義が国家戦略にまで支障を来たしたことで、シウヴァ環境相の立場が微妙になっている。
 PACと最も密接な関係にある環境省が特務班にお呼びでないのは奇異だ。IBAMAを二分したのは、環境相と官房長官の間に生じた摩擦を解決し、経済活性化を環境省依存から引き離すためであった。巷間でいわれる官房室と環境省の腕相撲ではないと、官房長官がいう。
 環境相はIBAMAが二分されたことで、二人の長官を指名する意向がないことを表明した。大統領はマデイラ河の電源開発で円満解決が無理なら、原子力発電に賭ける心算を示した。IBAMAは十日、総裁初め幹部職員などが同局二分に抗議して、全国規模のストと首都における示威行進を計画している。マデイラ河発電所建設はさらに混迷を深めそうだ。