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INSS赤字は自然に減少=何ら対策を講じなくても=11年以降は再び増加へ
2007年5月8日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】社会保障院(INSS)の赤字幅が、ルーラ政権の終了する二〇一〇年までに自然減少すると予想されている。
社会保障省が見解を示したもので、年間予算案の中に盛り込まれて国会に提出された。それによると、今年の赤字は四五五億レアルが見込まれ、GDP相当の二・〇三%となるが、一〇年には一・四四%相当の四二五億レアルに減少する。
減少の原因は政府が何らかの対策を講じたわけではなく、積立金の増加によるもの。年金支払いは年々一〇%増で推移しており、国内総生産(GDP)対比八・一%となっているものの、積立金の徴収はGDP比一三%増と上回ることが予想されている。
これまでは積立金の徴収は社会保障省が独自で行ってきたため、申告や徴収漏れが多くあったが、先週実施の運びとなった税制システムの改革で積立金徴収も連邦国税庁に統合されたことでこの問題は解消され、積立徴収が厳しくなるとみられている。
さらに〇八年から一〇年まで経済成長が年率四・五%から五%と予測されているのも追い風になっている。これは三月十四日に財務省が発表した公式見解に基づくもの。またこの見解では、一般所得の増加を〇八年に一二・八八%、〇九年が一二・六四%、一〇年が同じく一二・六四%としており、INSS積立の増加につながっている。
しかし赤字減少は一〇年までで、社会保障省では一一年からまた赤字増加に転じると危惧している。〇八年から一〇年までの赤字幅は年々それぞれ四四二億、四三四億、四三四億レアルで推移するものの、一一年以降はそれぞれ四五九億、四九五億、五三八億、五八六億レアルとウナギのぼりとなると予測しており、抜本的な対策が不可欠だと指摘している。