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イグアスー=「育苗センター」完成=2年目に入った日本経団連自然保護基金の支援

2007年5月8日付け

 【イグアスー移住地発】パラグアイのイグアスー移住地で去る四月二十二日「育苗センター」の落成式が行われ、地元の市長、国立アスンシオン大学林学部長と学生代表、イグアスー日本語学校の校長と生徒代表、各界代表ら大勢が門出を祝った。環境事情視察のため移住地を訪問していた日本経団連自然保護協議会の真下正樹顧問と谷口雅保部長も出席した。サンパウロからは沖真一さん(ブラジル東京農大会副会長)が駆けつけた。この育苗センターはイグアスー日本人会が日本経団連自然保護基金の助成を受けて昨年後半から建設を進めてきたもの。すでに、二万数千本の苗木が育っている。
 ロベルト・ラミレズ・イグアスー市長は「これによって市民の植林意識が向上することが期待できる。植林によって子供や孫たちにもっと住みよい環境を提供できるようになる良い機会だ。市民に代わって日会にお礼したい」と挨拶した。
 日本人会の公文義雄会長(高知県出身)は、基金の支援に謝意を述べながら、「最近は気候の変化が日常生活に影響を及ぼしていることが顕著となってきているが、パラグアイでは今まで環境保護の意識があまり進んでいなかった。みんなで一緒に植林を進めて環境意識の向上をはかっていきたい。このためにも基金の支援を有効に活用していきたい」と育苗センター建設の意義を解説した。
 市長や日会会長らとテープカットに臨んだ国立アスンシオン大学林学部長のミルタ・ヴェラ・デ・オルテズ女史は、移住地での植林に研修のため学生を参加させたい希望を表明した。これ自体、日本人会に対する国立大学の信頼の表れの一端だ。
 植林が可能な日会所有地の一部を同大学林学部の実習林として提供する可能性が浮上しつつある。苗木は育苗センターから提供し、育苗の実技研修も日会が行うことが可能だ。沖真一さんの指導範囲も広がりそうだ。学生たちによる移住地訪問の機会が増えれば、市民(住民)の環境意識喚起にもつながり、ラミレズ市長が期待する方向にもつながりそうだ。
 日本語学校高等部の大山巌くんが落成式参会者を前に若い世代を代表して意見発表を行った。「私たち高校生も去年、ここで植林をしました。最初は、何のための植林活動なのかと思っていました。しかし、この活動は自然の大切さを知る一つの機会でもあるのです。一人ひとりの力は微々たるものだと思いますが、みんなが協力し合えばできないことはないと確信しています。私たちはこれからも植林活動を続けていきます」。
 〇六年九月、高等部生徒たちは育苗センターの近くに「青年の森」を誕生させた。今年も木を植えて自分たちが誕生させた森を育てていくという決意表明でもあった。
 落成式は出席者全員による植林で始まった。パラグアイを代表する日刊紙の一つ、ABC紙が四月二十五日、カラー写真二枚を載せて大きく報じた。
 育苗センターの完成は植林の輪がどんどん広がる兆候に違いない。日本経団連自然保護基金は二〇〇七年度もイグアスー日本人会に支援を決定した。日会は環境保護委員会(篠藤菊雄委員長・愛媛県)を設置して二年連続の支援に応える態勢を整えている。大豆・和太鼓・植林などイグアスー移住地は要注目の場所だ。