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零細企業の株式上場急増=証券取引所が門戸広げる

2007年5月9日付け

 【エザーメ誌PME】零細企業の株式上場が最近、急増している。その一つ、サンジョゼ・ドス・カンポス市のミサイル・メーカーMectronは一九九一年、五人の同級生が創業し、自己資金でこれまで操業してきた零細企業である。顧客は政府で、年商三二〇〇万レアル。
 しかし、五人はこれから先、今までのようなトントン拍子で発展できない限界を感じた。国内相手の商売も限界で、外国へ目を向けざるを得ない。国際市場でも自社製品は格安であることに自信があった。輸出をすれば、年々五〇%増で伸びる。問題は、受注して納品するまでの材料費や人件費の資金繰り。
 五人は協議の末、社外で金策をすることにした。銀行は金利が高い。ファンドは時間がかかり、理想の投資家に会える補償もない。株の一部を売却すれば、乗っ取りは火を見るより明らかである。数カ月思案した揚句、株式公開による上場を決意した。
 これまでブラジルの証券取引所は、大企業専用の金策クラブであった。最近は外国投資家の急増と経済安定で金利も下降傾向となり、事情が変化した。二〇〇五年は中小企業も証券取引所へ出入りを始めた。さらにサンパウロ市証券取引所は、零細企業も参加できるように準備をしている。
 最近の上場企業は、往年のようなIPO(発売特価販売)をしない。証券取引所は二十四時間営業で、現時点価格は五年前の業績を反映したものである。最近はMectronのような零細企業も多数参加している。これは起業精神が企業文化を変革し、時代の波に乗っている証拠だ。
 企業文化の変革は長期に渡り続く。上場するのに時期尚早はない。業績と業務内容は、ガラス張りでなければならない。上場企業は経営陣の他に、独立した経営評議委員が必要で、国際基準の会計監査を行う。
 上場手続きを始めたが途中で断念する者も多い。挫折しても多くを学ぶことで、時間のムダではない。再起を期して、内容充実と準備万端に備えることだ。ガラス張りの公表段階で、多くのファンドが業務内容と将来性に注目する。