2007年5月10日付け
ニッシン・ブレーキ・ド・ブラジル(有)は新工場を建設するにあたり、三日、起工式をサンパウロ州イツー市内の建設予定地(ロドビア・サントス・ヅモン24キロ)で開催した。敷地面積五万平米内に工場(五千平米)、二階建て事務所と整備や管理のため施設(三千平米)を建設を予定。同工場は四輪車用ブレーキ部品を専門に扱い、二〇〇八年明けから徐々に生産を開始する予定だ。
ニッシン社は、一九九七年にマナウスに進出。二輪車用のブレーキ、約百六十万台分を製造し、ホンダやヤマハに下ろしているが、今回主な取引先であるホンダがスマレー工場での四輪車生産を拡大するのに伴い、同社の第二拠点となるイツー・プラントの建設を決めた。
同工場は、十五万台分の製造能力を備え、十月中の完成を目指している。さしあたっては約百人の従業員を採用して、ホンダのシビックやフィット用のブレーキの製造を行う予定だが、檜森啓二社長は「これから他のメーカーとの取り引きも考えていく」と、需要拡大への意気込みを見せた。
起工式には、建設地であるイツー市のエルクラ・パッソス市長や市議会議長ら、土肥克巳在サンパウロ総領事館領事、日本からは日信工業株式会社の阿部保社長が参加。ジョゼ・ロベルト・オリベイラ神父による清めののち、建設の安全と同社の発展が祈願された。
阿部社長は、五年前より、サンパウロ近郊での四輪ビジネスを検討していたことにふれ、「まさに夢の実現のような気持ちだ」。檜森社長は「地域の環境に配慮し、イツー市に貢献していく」と抱負を述べた。これから設備の導入、社員の採用とトレーニングを行っていくという。
パッソス市長も、同社の工場建設が「街や地域に貢献することは確実だ」と喜びの意を示し、「ここ(イツー市)には日系社会があり、カラオケが人気だが、日本人は正直で本当に歓迎だ」と話した。
【日信工業株式会社】
一九五三年設立。ブレーキを主とした、二輪・四輪車用部品の開発、製造、販売を行っており、二〇〇六年三月期の単独売上げが一千十億円。世界八カ国に海外工場を持つ。マナウス工場では従業員三十人、四十万台分の二輪車用部品の製造からはじめ、現在は従業員六百八十人。来年は二百万台分の生産を目指す。