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5割以上が「移住して良かった」=宮城=母県の調査に県人会が協力

2007年5月10日付け

 五割以上が「移住してよかった」――。宮城県の宮城ブラジル交流協会がこのほど、ブラジル宮城県人会との協力で同県からの移住者にアンケート調査を実施、その結果を現地の「河北新報」が報じている。
 同調査は、来年のブラジル日本移民百周年を機に県人移住者の暮らし振り、意識などを探ることが目的で、昨年末にかけて、宮城県人会員約二百人を対象に行なわれたもの。年齢や渡伯年月日のほか、「移住の自己評価」「ブラジル国への感想」「日本政府の移住政策」「宮城県の移住者への対応」など、日ポ両語の選択式アンケートになっている。
 宮城県人会(中沢宏一会長)にアンケート協力の依頼があったのは昨年の九月頃。友好協会と県人会との間で質問項目を検討後、会員に送付したほか、敬老会の出席者などからも回答を得た。
 回答者は百二人。「移住の自己評価」の項目では一六・七%が「大変良かった」、四〇・二%が「良かった」と回答。
 一方で日本政府の移住政策については、「不十分」が三七・三%を占め、「評価する」(三二・四%)を上回った。同紙の報道によれば、「移民の実情を知らなすぎる」「送り出しただけで後押しがない」「実際は棄民」といった意見も寄せられたという。二重国籍の承認を求めるものや、政府の移住支援縮小への不満の声もあったようだ。
 県の移住者への対応に関しては、宮城県が実施する敬老金制度の存続を求めるものが多かったという。
 今回のアンケートでは、同県人会員六百人のうち、回答は約二割。移住者全体の意見を反映しているとは言いがたい。
 調査に協力した中沢宮城会長も、戦前移住者の家長世代の多くが亡くなっていることや、戦前と戦後移住者の区別なく対象にしていることについて、「多少無理があったかもしれない」と振り返る。
 一方、都道府県の交流協会が主体となって移住者を対象にした調査が行なわれるのは稀なケースと言える。中沢会長は「百周年の節目にこういう調査が行なわれたことは意義あることだと思う。他の県人会でもこういう動きがはじまれば」と話している。