2007年5月12日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】共同捜査を行っていた連邦警察とインターポールは十日、元プロサッカー選手のコロンビア人リンコーン容疑者をサンパウロ市ペルジーゼス区の自宅で逮捕した。
同元選手は共営者がパナマで麻薬取締法違反ならびに資金洗浄で有罪判決を受けたのにともない、共犯として同国で起訴されて国際指名手配されていた。この程パナマ政府による国外犯逮捕の要請を受けて連邦最高裁が逮捕状を執行したもの。パナマ政府は逃亡犯罪人として同国への引き渡しを要求している。
リンコーン元選手はコロンビア代表としてW杯に三度出場しており、ブラジルではパルメイラスなどのMFで活躍、名プレーヤーとして一世を風靡したが、過去にはコロンビアマフィアとの黒い噂がつきまとっていた。今回も本人は容疑を否定しているが、「栄光の影に犯罪あり」が実証されるのか、関係者の注目を集めている。
リンコーン元選手は漁業会社の共営者の一人で、同者が所有する三隻の漁船がパナマ運河で手入れを受けてコカイン四〇キロが押収された。主犯格で共営者の一人のコロンビア人がこの罪で昨年五月にサンパウロ市で逮捕された。このコロンビア人はコロンビアマフィアの一員とみられており、リンコーン元選手は幼少時からの友人だと述べている。
この逮捕劇で押収した書類にリンコーン元選手の共犯を裏付ける証拠が発見されたという。同元選手はコロンビア本国で不正資金流用の容疑で五軒の不動産を没収されている。また友人のコロンビア人は組織所有の一三四件の物件を押収されるといういわく付きの人物である。二人はサンパウロ市連警本部に拘置され、パナマ当局からの引渡し要求書類の到着を待っている。
リンコーン元選手はコロンビア代表として九〇年、九四年、九八年のW杯に出場、同国の屈指のプレーヤーとされた。九四年に来伯、パルメイラスで活躍した。九五年にスペインのレアルやイタリアのナポリでプレーした後、九六年にパルメイラスに復帰した。
その後コリンチアンス、サントス、クルゼイロの名門を渡り歩いた。今年はサンベントの指揮を取ったが功せず解雇に。現在は活動を停止している。