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不足する優秀な人材=10年間に人的投資減り=大手企業は自社育成に躍起

2007年5月15日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】ブラジルでは過去十年間に専門技術を有した人材への投資を怠ったことで、優秀な人材難に直面している。カンピーナス大学の研究グループが調査したもので、ルーラ大統領の掛け声とは裏腹に、実態は逆行していると指摘している。
 一九九五年にはSシステムと呼ばれる技術訓練所(労働省と教育省が共同で設置したSENAIやSENACなど、頭文字がSで始まる八の訓練所あるいは高専)はGDP対比〇・三九%に相当し、実働労働者の六・一%がこの恩典に属したが、十年後は〇・三三%に減少し、労働力の五・二%にとどまる結果となった。この期間、国内の失業は四五〇万人から八九〇万人とほぼ倍増した。
 専門技術者が不足していることを受けてエンブラエル・WEG、ポン・デ・アスーカルなどの大手企業は自社で独自の技術者や専門職を訓練している。事務所や工場の一部が教室となっている。
 航空機製造のエンブラエルを例に挙げると、専門技術者が不足していることから、航空技術院と提携して十八カ月間の研修期間を設けて育成している。この研修にこれまで一億七〇〇万ドルを投資、昨年は二九六〇万ドルを投じて一〇〇人の技術者を養成した。
 ラテンアメリカ圏内で電力モーターの最大手のWEGでは国内五工場の生産を倍増すべく一五〇〇人の求人を行っている。その八〇%が生産部門に配属される。
 同社ではこれまで中等教育以上の学歴で高専枠を優先、工場所在地内に六カ月以上の在住者と限定してきたが、今回は規定を削除、初等教育のみの学歴でも採用し、社内訓練すること決定した。
 スーパー大手のポン・デ・アスーカルの悩みはより深刻だ。職業訓練所では工場向けが対象となっており商業向けは行っていない。とりわけパン、肉、魚の職人の人材が不足しているため、先輩職人がつきっきりで指導している。
 第二次カルド―ゾ政権(一九九九―二〇〇二)では人材育成用の投資は一五億レアルだったが、第一次ルーラ政権はわずか二億六五八〇万レアルにとどまった。今年の予算は一億二〇〇〇万レアルと見積もられている。ルピ労働相はこれに対し、少なくともこの三倍が必要だと不満を述べている。