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好況の陰でバブルの懸念=新興国外貨準備増が下支え

2007年5月15日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】新興国の株式市場が活況を呈し、サンパウロ証券取引所(Bovespa)の平均株価指数が五万ポイントを超えて、投資家の間に楽観姿勢が広がる一方、現在の好況にはバブルの可能性があると懸念する声も挙がっている。
 市場に対する悲観的観測で有名な米国人エコノミストのロウビーニ氏は、アジア諸国やロシア、そしてブラジル始め中南米諸国の外貨準備高が莫大な額に膨れ上がっている点を警告している。現地通貨の高騰を防ぐため中央銀行が実施するドル買い介入が世界的に通貨の流動性を高め、株式市場や不動産市場でインフレやバブルを引き起こしているという。
 国際的な株価高騰の流れを受けてBovespaは、株価指数が昨年六月の同年最低値から今年五月までに五五%も上昇した。同期間にメキシコの株式市場は八〇%の上昇をみた。これは米国の株式市場の好調を反映したもので、代表的株価指数であるS&P五〇〇は、十一日に一五〇五・八五ポイントと、インターネットバブルの頂点にあった二〇〇〇年三月の過去最高値(一五二七・四六ポイント)に迫っている。
 新興国への資金流入を下支えする理由の一つが外貨準備の増加で、筆頭の中国では一兆ドルを突破、アジア諸国の総計では二兆五〇〇〇億ドルに上った。ブラジルは五月二日時点で一二二四億ドルに達している。
 国際通貨基金(IMF)の元主任エコノミストのロゴフ氏は、新興国の中銀の為替介入が通貨流通量を増やしており、中国の経済成長が失速すると深刻な問題を引き起こしかねないとみている。また、株価を株式の年間利益で割った指数(PL)も上昇傾向が続いていると指摘した。サンパウロ平均株価指数のPLも二年前の一〇ポイントから一五ポイントへと急上昇している。