2007年5月15日付け
【フォス・ド・イグアスー発】「六割は出来上がったので、あと五年くらいかな」。独特のハスキーボイスで悲願の会館完成の夢を語るのは、パラナ州フォス・ド・イグアスー日本人会の東和夫会長。同会は一九八七年に創立、今年四月には二十周年を祝った。現在は七十家族が力を合わせ、活動を行っている。創立当初から、会館建設に着手しているが、主な財源は会自慢のすき焼き販売によるものだという。大瀑布のある町、イグアスーを訪ねた。
「来る人はブラジル人ばかり。みんな日本人会のすき焼きの味が好きなんですよ」と東会長、胸を張る。 同会では二カ月に一度、すき焼き会を開催、毎回六、七百人の来場者を迎えている。
「砂糖少なめ、醤油は多め、大事なのはマカロンを入れること」とブラジル人の好みに合わせ、ようやく現在の味に落ち着いたという。
東会長は、サンパウロ州ペレイラ・バレット出身。イタイプーダム建設のため、地形学者として二十四年前にイグアスーに移り住んだ。
昨年、定年を迎えたことから、日本人会の牽引役となり、すき焼きを主な財源として、会館建設に力を入れる。
同市の人口は約三十一万人。日系人は約二百家族と少数だが、七十家族が会員となっている。
今年四月一日には、創立二十周年を祝うフェスタを開催、二十家族が祝ったという。
同市に四十三年住んでいる田崎義明さんによれば、日本人の娯楽でやっていた野球部が日本人会の前身。 野球部所有の一アルケールの土地を日本人会に提供、会員の集いの場となるサロンを皮切りに、すき焼きの収入でコツコツと完成に向けて建設を重ねてきた。
今では、カラオケ、ゲートボール、新年会に運動会、セントロ地区で日本語学校も経営、約三十人が学んでいるという。
今月十二日、同市観光局により開催された第一回日伯オープンゴルフ大会のイナウグラソンでは、すき焼きはもとより、婦人部による踊り、鯉のぼりを提供、その存在感を見せつけた。
大会で同市を訪れた上野アントニオ元連邦議員は、「今までなかった市とコロニアのつながりにこれから期待したい」と同日本人会に対し、並々ならぬ思いを寄せていた。