2007年5月16日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】自然環境保護院(IBAMA)の職員六四〇〇人が十四日、IBAMAの二分に抗議し、首都本部と二十六州の分院で無期限ストに突入した。これで経済活性化計画(PAC)を賭けた数々のプロジェクトも認可の発行が遅れる見込みとなった。連邦裁判所は同日、IBAMAのストが環境への影響と国家経済への損害をもたらすとして勤務の継続を命じた。裁判所の仮判決は、PAC関係の保留や放置ができない重要書類の審査に携わる信任職員の五〇%は出勤するという、ストの制限を通告した。
生活に直接影響を及ぼす国家公務員のストの制限を検討していた矢先の環境院ストである。連邦裁第十七法廷は、環境院ストが第三者へ多大な被害をもたらすとして職場復帰を命じた。通告を無視した場合、一日につき五〇〇〇レアルの罰金と、スト責任者は刑事訴訟の対象となる。
ストはPACの遅延ばかりでなく、森林の違法伐採や山焼き、産卵期にある動物や交配期植物の管理が放置されるため、生態系は甚大な被害を受ける。環境院の正門入り口を閉鎖しているスト職員は直ちに入り口から退去するよう命じた。
IBAMA職員らは、同院を二分し、電源開発などの許可を審査するシッコ・メンデス開発院を設立することを制定した暫定令三六六号が、環境保護の観点からは環境院職員の屈服になるとみている。同暫定令を廃棄とするまで執拗に食い下がる意気込みだ。
政府は連邦裁の仮判決を、国家公務員スト法の土台になるとみている。これまで国策が国家公務員によって阻止されるのは不可解であった。仮判決で環境院は、暫定令をめぐり連邦裁判所と環境省の板ばさみになる。
環境院職員の中には、労働者党(PT)党員も多数おり、PT州支部へ掛け合う者もいる。しかし、PACは党問題ではなく国家問題であり、政府の命運を賭けた問題である。
PAC総司令官になったロウセフ官房長官は、電源開発を国家戦略だとした。ブラジルの国家戦略は過去二十年間、第一次ルーラ政権も含めて、何の手も打たれず放置され、経済発展は停滞していたと述べた。PACは一政策ではなく政権が賭ける政策であり、政府と州、市などの国家レベルで取り組む課題だという。
近未来に予想されるエネルギー危機に備え、電力不足の責任者にシウヴァ環境相を仕立てる画策だという見方もある。政府のエネルギー政策は所詮泥縄式だという批判だ。
ルーラ大統領は環境院ストの報告を聞いて、環境院の近代化とはストかと怒った。大統領にとってストは、環境相に対するIBAMAの反乱だという。子孫のために社会保障制度の改革を思案すると、現在年金を受給する者は何を取り上げられるかを心配する。IBAMAを改革すると、職員はストに入る。
ブラジル人は余ほど近代化が嫌いらしい。近代化というと、裸にされると思うようだ。全ての改革は多少の犠牲がある。新しい服を着るためには、古い服を脱ぎ捨てる必要がある。政府の構造改革とは、給料半減とか路頭に放り出すことではないと大統領がいう。