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身近なアマゾン(44)――真の理解のために=移民100周年にあたり=朽ちた人、移住地忘れまじ

2007年5月18日付け

 □あとがき
 アマゾンを中心として、各地での経験を文章にしてみた。以下は、本稿を終わるにあたって、筆者がブラジル全域を回っていての感想だ。こうしてブラジル国内をあちこち旅していると、各地で活躍する日本人に接する機会がある。彼らの全てが日本から移民として、この土地に渡ってきた人たちとその子弟たちといえる。
 一九〇八年六月、日本人移住者が初めてサントスの港に到着してブラジルでの日本人の活躍が始まったわけだが、それを遡る四十年、明治維新の年にはなぜかすでにハワイ移民が始まり、またペルー移民も一八〇〇年代に南米の地を踏んでいる。
 そんなペルー移民が初期の移民保護など何もなかった時代に、劣悪な生活条件からの生き残りをかけて、アンデスに登り、そこから発しているアマゾン川の流れに乗ってブラジルに下ってきているという事実もある。
 彼らの数は数千人にも及び、ある者はそんな旅の途中のアンデス山中で没している。そんな新天地を求めた多数の日本人が、アマゾン流域に住みついてその人生を終えているという事実がある。
 ブラジルに来た日本人移民の多くも、最初からアマゾン流域の開拓に挑んだ人達もいる。
 アマゾン流域にはベレンを基地に、上流に向かってサンタレン、モンテアレグレ、パリンチンス、マウエス、マナウス、ポルトベーリョ、グアポレなどという日本人がその地に爪痕を残した移住地がいっぱい残っている。
 そんな中で百年の歳月が過ぎて、放棄されたり、忘れ去られようとしている移住地も数多くある。そういう地域を回っていて、いったい移民とは何であったのか、という思いが筆者に湧いてきている。
 移民百年を迎えるにあたって、これらの忘れ去られようとしている土地が何であったのか、という記録を是非後世に残しておく必要があるように感じている。
 これは単に移民個人の問題ではなく、移民を送り出した日本の国からの日本人、彼らも日本人だったという観点で見てもらいたい、と思うところでもある。
 長い間おつきあいいただき、ありがとうございました。おわり (松栄孝)

身近なアマゾン(1)――真の理解のために=20年間の自然増=6千万人はどこへ?=流入先の自然を汚染
身近なアマゾン(2)――真の理解のために=無垢なインディオ部落に=ガリンペイロが入れば…
身近なアマゾン(3)――真の理解のために=ガリンペイロの鉄則=「集めたキンのことは人に話すな」
身近なアマゾン(4)――真の理解のために=カブトムシ、夜の採集=手伝ってくれたインディオ
身近なアマゾン(5)――真の理解のために=先進地域の医療分野に貢献=略奪され恵まれぬインディオ
身近なアマゾン(6)――真の理解のために=元来マラリアはなかった=輝く清流に蚊生息できず
身近なアマゾン(7)――真の理解のために=インディオの種族滅びたら=言葉も自動的に消滅?
身近なアマゾン(8)――真の理解のために=同化拒むインディオも=未だ名に「ルイス」や「ロベルト」つけぬ
身近なアマゾン(9)――真の理解のために=南米大陸の三寒四温=一日の中に〝四季〟が
身近なアマゾン(10)――真の理解のために=アマゾンで凍える?=雨季と乾季に〝四季〟感じ
身近なアマゾン(11)――真の理解のために=ペルー国境を行く=アマゾン支流最深部へ
身近なアマゾン(12)――真の理解のために=放置、トランスアマゾニカ=自然保護?改修資金不足?
身近なアマゾン(13)――真の理解のために=クルゼイロ=アクレ州の小川で=狙う未知の魚は採れず
身近なアマゾン(14)――真の理解のために=散々だった夜の魚採集=「女装の麗人」に遭遇、逃げる
身近なアマゾン(15)――真の理解のために=眩しい町サンタレン=タパジョス川 不思議なほど透明
身近なアマゾン(16)――真の理解のために=私有地的に土地占有=貴重な鉱物資源確保目的で
身近なアマゾン(17)――真の理解のために=近年気候変異激しく=東北地方、雨季の季節に誤差
身近なアマゾン(18)――真の理解のために=ピラニアよりも獰猛=サンフランシスコ川=悪食ピランベーバ

身近なアマゾン(19)――真の理解のために=異臭発しても観賞魚=円盤型、その名の意味は?
身近なアマゾン(20)――真の理解のために=ディスカスの自衛方法=筆者の仮説=「あの異臭ではないか」
身近なアマゾン(21)――真の理解のために=タパジョス川の上流に=今は少ない秘境地帯
身近なアマゾン(22)――真の理解のために=ゴールドラッシュの終り=河川汚染もなくなった
身近なアマゾン(23)――真の理解のために=環境破壊を防ぐ行動=国際世論の高まりのなかで
身近なアマゾン(24)――真の理解のために=乱開発された土地に大豆=栽培の競合もつづく
身近なアマゾン(25)――真の理解のために=コロンビアとの国境近くで=知人の訃報をきく悲哀
身近なアマゾン(26)――真の理解のために=インディオの「月」の解釈=ネグロ川上流できく
身近なアマゾン(27)=真の理解のために=肥沃な土地であるがゆえに=自給自足生活が営める
身近なアマゾン(28)――真の理解のために=モンテ・アレグレの壁画から=古代日本人の移住を思う
身近なアマゾン(29)――真の理解のために=人間に知られないまま絶滅=そんな生物も多かった?
身近なアマゾン(30)――真の理解のために=命を賭した移民の開拓のあと=説明できない悲哀が…
身近なアマゾン(31)――真の理解のために=漁師に捕獲されれば=食べられてしまう=ペイシェ・ボイ「雄牛魚」
身近なアマゾン(32)――真の理解のために=日本語を話した?カワウソ=すごく笑いがこみあげて来た
身近なアマゾン(33)――真の理解のために=自然保護活動と山火事=何億の動植物が灰になる?
身近なアマゾン(34)――真の理解のために=根本的な自然保護策は?=道をつくらないこと
身近なアマゾン(35)――真の理解のために=ブラジル全域で哀悼の意=英雄セナの死に際して
身近なアマゾン(36)――真の理解のために=忘れ得ぬセナの輝き=それはブラジルの輝き
身近なアマゾン(37)――真の理解のために=ダーウィンへの情報提供者=150年前、探検・採集していた
身近なアマゾン(38)――真の理解のために=命がけの採集仕事だった=ダーウィンの助手?=「ウォーレス線」で名残す
身近なアマゾン(39)――真の理解のために=ウォーレスの150年前の記述=ネグロ川、今と同じ状態
身近なアマゾン(40)――真の理解のために=インディオが通行料金徴収=先住だから=居留地の所有権?
身近なアマゾン(41)――真の理解のために=珍魚採集を欲張ると…=飛行機まで遅らせてしまう
身近なアマゾン(42)――真の理解のために=ネグロ川上空でパニック怖い!=機体〃落下〃の連続
身近なアマゾン(43)――真の理解のために=お経を唱え終わったら=機体は水平、眼下に緑の樹海