2007年5月18日付け
大相撲夏場所が東京で行われている。千秋楽の表彰式に各国元首らの優勝杯や盾などが優勝力士に贈られる。先場所まで「シラク杯」もその一つだったが、今場所からなくなる、と在日フランス大使館が言ってきたそうだ。親日・知日のシラク大統領が退任、サルコジ大統領が就任したからである▼ハンガリー移民二世のサルコジさんは、大相撲の理解者でないようだ。パリの雑誌報道によれば、新大統領は、大相撲はチョンマゲの大きな男たちの闘い、魅力がない、知的でない、と大相撲をみている。とてものこと、肩入れして優勝杯を贈るという人ではないようだ▼マゲ(髷)は日本の伝統美・形式美である。大相撲は体格が優れた男たちが極限まで己の力と技を出し合う、礼がある格闘技、であることを知らないのか、知ろうとしないのか、「知的でない」とばっさり斬り捨てている▼国際交流は「相手理解」から始まるといわれる。個人の付き合いも同様だ。奥ゆかしい人は、まず相手を知ろうとつとめ、その結果、忌み嫌っても口には出さない。サルコジさんは、いい意味で野心家とされ、内務大臣として国内の治安維持に当たった際、政府施策に反対した人たちが暴徒化すると、「このならず者たちが」と罵り返していた▼さきの「知的でない」発言は、中国訪問のとき、大相撲にかこつけて、大相撲好きのシラクさんを皮肉ったときのものともいわれる。じっくり観戦、鑑賞すれば、案外「味があるじゃないか」と言うかもしれない。(神)