2007年5月19日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】連邦警察は十七日、カミソリ作戦と命名して公共工事の官製談合に関わった容疑者四十六人を逮捕した。逮捕者の中にはマラニョン州のジョゼ・R・タヴァーレス元知事や鉱動省次官、市長二人、州議一人、元下議一人、セルジッペ州元知事の子息、マラニョン州現知事の甥二人が含まれている。官製談合によって一年間で一億レアルを不正取得し、経済活性化計画(PAC)の工事についても談合の段取りを行っていた。工事の不正入札は、サルバドール市のガウタマ建設が仕切っていた。
連警のカミソリ作戦は、カリェイロス上院議長や族長サルネイ上議の周囲にも手が回り、国会を震撼させることになりそうだ。四十八人の逮捕状は、連邦高等裁のエリアナ・C・サー裁判長が認可した。認可待ちがさらに三十六人もいる。うち二人は逃亡した。
カミソリ作戦では、派閥の領袖や連立与党の国会議員と側近ら多数が、九州の公共工事で官製談合に直接または間接的に関与した容疑で逮捕されるらしい。連警によれば、公共工事マフィアは工事設計の建設許可から予算交付までを一括管理していた。主な工事は、電化工事や上下水道工事、道路建設、橋梁架設などであった。
マフィアは、鉱動省を始め国家統合省、都市計画省、運輸省などの省予算を横流ししていた。ルーラ政権の虎の子PAC予算の横流し計画も、すでに折込済みであった。
マフィアの根城であったガウタマ建設のズレイド社長は、多数の共営者を抱え、ロビイストとして連邦政府や九つの州政府、カマサリ(BA)とシノッピ(MT)市などに信任職公務員として送り込み、不正手続きを犯していた。連邦政府や州、市の工事監督の旅費や滞在費、高級公用車も、マフィアが着服した。
さらに逮捕者の中にブラジリア銀行のギマランエス頭取や鉱動省のコスタ次官、アラゴアス州の長官五人、連邦貯蓄銀行のピン役員、セルジッペ州会計検査院のオリベイラ顧問なども名を連ねている。容疑は不正入札と増収賄、権限乱用、資金洗浄である。
カミソリ作戦は十七日午前二時、首都で連警捜査官四〇〇人を動員し、期間三十日の予定で開始した。国会議員は盟友が次々と逮捕されるのを目撃し、動揺した。議員事務所も家宅捜査の対象となった。またも底なし沼に議員が足を取られ、いつ果てるとも知れない捕物帳が始まりそうだ。
カリェイロス上院議長の電話は、SOSで鳴りっ放し。親しく友人付き合いをするのはよいが、盗人の友人は迷惑という。上院議長にとっても、根がどこまで深いのか分からない。容疑が立件されないと、何も言えないと困っている。
大物政治家とゼネコンは、もちつもたれつの関係にある。第一幕はロゼアナ・サルネイ上議の地元マラニョン州が舞台だが、燎原の火は点けられたばかりだ。また鉱動省へ送り込まれた高官らは、サルネイ上議の子分である。
野党の民主党(DEM=旧自由前線党)は、なぜカミソリ作戦が今なのか不審に思っている。これは以前から極秘捜査を行い、連警で温めていたもの。同作戦の背後に何があるのか、DEMは分からないという。