2007年5月19日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】ドル相場が急落し、十五日に二レアル割れとなっても引き続き下落傾向を見せているが、この最大の原因は外国投資家によるドル流入にある。国内金利が国際金利よりも高率なため、利ざやを狙って定期預金や国債の買い求めが殺到している。
これに加えカントリーリスクが上昇し、十七日には史上最低の一四三ポイントとなったことも投資家の信用度を高めている。さらに外国投資家には所得税免税の特典があり、投資配当がネットとなることも有利となっている。
こうした背景をもとに、二〇〇六年一月から〇七年三月までの外国からの投資総額は一四五億ドルに達した。四月および五月の統計は未発表だが、さらに加速したとみられている。
この現象は一九九五年から〇三年までの動きとは対照的で、この期間は年々ドルが国外に流出し、わずかに〇三年のみが二億七二〇〇万ドルの入超となった。
その後、〇四年は減少して一億一二〇万ドルとなったが、〇五年は六億八九〇〇万ドルと伸長の兆しを見せた後、〇六年には一一〇億四〇〇〇万ドルと爆発的な伸びを示した。今年の三カ月間では三四億九〇〇〇万ドルのハイペースとなっている。
そもそも外資による投資は、昨年二月に所得税免除となった時点で急増した。政府は外債支払いと返済延長、外資獲得を目的として国債を連続的に発行し、人気を呼んだ。しかし五月に入り世界経済の不況でボーナスを売る投資家が現われ、政府は額面維持とパニックを避けるために買い戻しに走る一幕もあった。
これを踏まえ金融市場筋では、中銀の外資準備高が史上最高を記録しており、また国際経常収支も年々四〇〇億ドル台の黒字となっていることから、外資に対する税制恩典は必要ないと指摘している。
こうした状況で、金融関係者の間では基本金利(SELIC)の大幅切り下げを期待する声が強まっている。エスタード紙が打診した二十五の金融機関のうち十六社が六月の通貨政策委員会(COPOM)で下げ幅を〇・五%として年率一二%とすることを要望している。残りの九社は現行の〇・二五%切り下げでも止むを得ないとの回答を寄せた。