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貧困の少年らの社会教育=「エマウス共和国」日本でも活動=パラー州ベレンに本部=リーダー「日本の青年達の理解嬉しい」

2007年5月19日付け

 「エマウス共和国」を知っているだろうか――?貧富の差が激しいパラー州ベレンで、路上で働いたり路上生活を送ったりしている子供たちを集め、生活改善の手助けなど社会教育活動に取り組んでいる、NGO「エマウス共和国運動(Movimento Republica de Emaus)」。廃品回収やアクセサリー作りなどを通じて、子供たちを心理的、社会的に力づける教育を目指す同団体は、日本にも事務所があり、ボランティアとして日本の青年が来伯し活動に参加。エマウスの教育者、アナ・ルシア・ゴメスさんは「日本との交流は重要だ。私たちのプロジェクトを理解して、活動を広めてくれる」と喜びの言葉を寄せている。
 「エマウス共和国」での活動は四種類に分かれる。(1)路上生活を経験した子供たちへの社会教育を行う「小さな労働者の共和国」、(2)初等中等公立学校「シダージ・ジ・エマウス」の運営、(3)不用品回収運動とリサイクル品を販売する「エマウス・キャンペーン」、(4)法律的な相談に応対する子どもの権利保護センター(CEDECA)。
 エマウスの活動の発端は、一九七〇年に、協会の青年会がストリートチルドレンに対して、無料で食事ができる食堂を作ったこと。そこは次第に食堂以上の場所となり、新約聖書に出てくる、キリストの再来の地を意味する「エマウス」という言葉をとって共和国が始まった。
 現在では、ファベーラでの生活経験者や教会活動に従事する人、大学の実習で訪れた学生など、様々な背景を持つスタッフ約八十人で、総勢二千五百人の子供たちを支援する、大規模な住民組織(『内発的発展と教育―人間主体の社会変革とNGOの地平―』)にまで、成長している。
 エマウスと日本との交流が始まったのは、四年前だ。上智大学に勤める田村梨花さんが研究のために同地を訪れて以降、日本に事務所が置かるようになった。エマウスの子供たちが作ったアクセサリーを販売したり、国際交流イベントや勉強会などを通じて、エマウスの活動を日本で紹介している。
 また、日本事務所は、エマウスでのボランティア希望者に情報を提供し、現地への橋渡しも行う。
 エマウスでの活動を体験したコウダ・アキコさんは、そのホームページに、「『一見は百聞』を体験中。というよりも、百聞以上。ブラジルに来て、そしてエマウスに来てみて、「ブラジルの社会問題」はやっぱりブラジルの社会に入ってみないことには何も理解できないのだな、と再認識させられました。それくらい、ブラジル社会は悪い意味でも、良い意味でも深い!!」。
 ルシアさんによれば、十二人程度のグループが日本で活動しており、これまでに一般のボランティアら九人が現地を訪れている。エマウスは日本以外、他国との交流は持っていない。十八日「この交流は本当に重要。もうすぐ、また二人の日本人が(エマウスに)着く予定。楽しみにしてる」と声を弾ませていた。
 同団体ホームページ=http://www.jca.apc.org/praca/emaus/(日本語版)