2007年5月22日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十日】外国で生まれたブラジル人夫婦の子が、ブラジル国籍を取得できずに無国籍となるケースが二十万件に上り、親を始め関係者らは事態の解決を訴えている。
そうした事態は一九九四年の改正憲法公布以降に発生した。八八年憲法第十二条は、ブラジルで生まれた子(親の国籍を問わない)、または外国で公務に就くブラジル人を父または母とする、外国で生まれた子をブラジル人と規定している。憲法改正によりブラジル政府は、国籍は出生地のそれとする「出生地主義」の原則の適用を優先した。
つまり、ブラジル人はブラジル国内で生まれた子に限られ、外国で生まれた子がブラジル国籍を取得する場合は、ブラジルでの居住と、連邦裁判所の許可が要件となった。
スイス、ポルトガル、日本など、子が親の国籍を受け継ぐ「血統主義」を採用する国でブラジル人夫婦の間に子が生まれると、その子は現地国の国籍を取得できないばかりか、その国に居住するかぎり、ブラジル国籍も取得できない状態が続くことになる。
法務省はこうした事態に対応するため、外務省と共同で、子が十八歳になるまで出生登録とパスポート発行を認める措置を採っている。しかし、登録はあくまで条件付きの仮のもので、子が帰国しても身分証明書がすぐに発行されず、保健や教育といった公的サービスを受けることができなくなる。ブラジル弁護士会(OAB)によると、連邦裁の許可が出るまでに三年から五年はかかるという。
外国で生まれたブラジル人の子がブラジル国籍を取得できるようにするための憲法改正案が七年前に上院で可決されたが、下院では審議が棚上げされている。こうした子の親や関係者らは六月一日と二日に、各国ブラジル大使館前で抗議活動を実施する予定だ。