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ズサンな運営の救急病棟=待ち時間平均1時間=医師不足、不潔、応対悪い

2007年5月24日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】サンパウロ市内の救急病棟(AMAs)が設立されてから二年が経過したが、その大半が当初の思惑とは異なり、程度の低い運営状態にあることが明らかになった。
 サンパウロ州地区医療審議会が昨年十月から十二月にかけてサンパウロ市内の総数四十七カ所のうち三十カ所を調査したもので、半数以上が設備が不完全だった。加えて医師を含む専門家の不足、衛生の欠如、清掃不足、応対の悪さなどが指摘された。
 なかでも治療に要する待ち時間は当初の予定の三〇分を大幅に上回り、平均で六十九分という長時間に及び、救急の意味合いのないものとなっている。
 救急病棟は二年前、セーラ前市長(現サンパウロ州知事)が就任時に設立したもので、救急病院や保健所に属し、軽い症状の患者が予約なしで治療を受けられることを目的とした。診療時間は月曜日から土曜日の七時から一九時までのため、応対し切れずに前述の待ち時間となっている。
 また配属される医師は内科、小児科、産婦人科、外科医が予定されていたが、実態では全員が揃っているのは三分の一にも満たない。専門的治療を必要とする患者は救急病院や保健所に回されるが、これには予約が必要で、通常内科で九十日、小児科で四十日の待ち時間となるため、症状に耐えられずに再度救急病棟に戻ってくる人が多数いる。これがゴッタ返す原因となる。審議会によると二〇〇六年までの一年間で診療に訪れたのは一三〇万人増となったという。
 この調査結果を踏まえてサンパウロ市保健局は、期限を明確にしないまでも、改善を表明している。優先的に待ち時間を縮小するとして管理体制の強化を図る。さらに救急病院や保健所の体制を見直し、診療のスムーズ化を改善するのも急務だとしている。
 カサビサンパウロ市長は年内に救急病院を一〇〇カ所までに増設した上で、診療時間は午後十一時まで延長するとの意向を示している。