2007年5月24日付け
近くNHK総合 NHKスペシャル「にっぽん 家族の肖像・第2集 大家族の夢」で、弓場農場が取り上げられる。弓場常雄さん(弓場農場代表)の家族を中心に、ブラジル人との結婚をめぐる弓場農場の葛藤、〃大家族〃の絆を紹介する。スタッフは一年以上前から農場と連絡を取り合い、四回に分けて滞在。いくつもの賞をとったことのある久保田直さんが担当し、撮影を終えて「自分なりの表現でうまくまとまった」と評したという作品だ。テープ三百本分をまとめあげたという放送は、ブラジル時間で二十八日午前十時から十時五十分。
これまで幾度も日本のテレビで紹介されてきた弓場農場だが、今回ほど長時間をかけて撮影が行われたのは、初めてのこと。
畑での作業、結婚式、納骨の儀式やクリスマスなどのバレエ公演、食事の様子から、継夫さんの入浴時にもカメラをまわしていたという。
常雄さんは「もうやめてくれって、思うくらい、三日三晩つきっきりで影のようについて来る。撮影が終わったときには、フゥーとした」と、苦笑いしながら胸のうちを明かした。
NHKのスタッフは下見で一回、撮影に三回、昨年の八月、十二月と今年の三月に弓場を訪れている。
執拗に繰り返された撮影だったが、「だんだんカメラに慣れる(意識しなくなる)らしいね」と常雄さん。久保田さんの滞在中には毎晩のように語り明かし、「よく話したけど、なかなか面白いヤツだったよ」と話を思い出して笑った。
「今はものが豊富な時代。〃団体〃〃集団〃という観念がなくなりつつある世の中で、共同(生活)している弓場に何か思うところがあったんじゃないの」と、番組の意図を解している。
常雄さんは、「どういうものになるかは、彼(久保田さん)まかせ。変なものにしないで、とは言ってあるけど人の目を介すからね」と一線を画しながらも、「恥ずかしいけど、放送のときは皆で見るでしょう」と、はにかみながら期待を寄せた。
NHKスペシャルのホームページ(http://www.nhk.or.jp/special/index.html)は、同放送をつぎのように紹介している。
∧ブラジルに七十年前に移住して以来、日系人だけで共同生活を送っている農場がある。二十七家族八十六人の四世代は、長い間日本語や日本文化を大切に守り、現代の日本よりもむしろ「良き日本の家族」を体現してきた「大家族」だった。その、いわば理想の共同体に、去年大きな波紋が広がった。一人の娘が、ブラジル人と結婚したいと申し出たのだ。言葉の壁や日本風の共同生活。果たしてブラジル人が馴染めるのか。「日本人」としての「血」を守らなくて良いのか。農場で連夜の大議論が始まった。「絶対許せない」「結婚するなら農場を出るべきだ」という激しい意見や、「過疎の村のように結婚相手もいなくなる現状をどうするのか」という容認論。その狭間で、母は泣いた。二人は、とりあえず農場を出て近くに家を構えた。一つの「結婚」は、「大家族」にあらためて「家族とは何か」を問うた。現代日本にも通じる「結婚」を巡る葛藤を、日系ブラジル人大家族の絆の中に見つめる∨。