2007年5月25日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十四日】サンパウロ州マウアー市のレオネウ・ダーモ市長(緑の党=PV)は二十三日、同市の下水工事を取り仕切るガウタマ建設系列のエコザマに行政介入する市条例を公布した。ガウタマ建設は、公共工事の不正な入札と予算交付を画策したズレイド・ヴェラス容疑者が経営する会社。同市がオズワウド・ジアス前市長(労働者党=PT)の市政下にあった時代、エコザマとの間に交わした一六億レアルに上る発注工事に不正があったと州会計検査院が指摘した。工事の入札には、官製談合の容疑があった。
連警のカミソリ作戦で黒幕とされたガウタマ建設の系列のエコザマが落札した工事は、サンパウロ州会計検査院(TCE)から不正が指摘されていた。同市のダーモ市長によれば、行政介入はTCEの審理が終るまで続く。
エコザマは毎月、一八〇万レアルの工事を市から請け負った。来る三十年間では、一六億二〇〇〇万レアルの契約を受注している。現在は検察庁と州会計検査院が審査中であり、最終報告が出るのを待って方針を決めると同市長はいう。両機関の調査で不正行為が確認された場合、契約を無効にするらしい。
同工事契約は二〇〇六年、TCEの第一回表決で違法とする判決が下された。入札には四十一社が参加し、最終的にガウタマ系列のエコザマとコンソルシアムの二社へしぼられた。この入札手続の合法性について検察庁が二十四日、判断を下す。
連邦高等裁サンパウロ州支部は、連警の要請によりエコザマの銀行預金を凍結した。預金の凍結解除について、マウアー市代表と高等裁の検察官が話し合う。エコザマの従業員は、給料の遅配で家族が困っているからだ。疑惑渦中の前市長は、行方をくらましている。
カミソリ作戦で押収された電話の盗聴記録によれば、マウアー市のスカリ前助役とガウタマ建設との接触が明白であり、前助役は疑惑の中心人物とみられる。二〇〇二年マウアー市の下水工事をエコザマに一任と決定したのは、前助役である。前助役は現在、PT配下のスザノ市で助役を務めている。
ガウタマのファッチマ専務によれば、スカリ氏のほうから携帯電話の番号を提供し、ガウタマに発注の便宜を図る旨連絡したという。スカリ氏は携帯の番号も接触も全面否定した。連警には、スカリ氏が電話をした日付と会話内容の記録が保管してある。
ジアス前市長もエコザマへ四二七〇万レアルを交付するため、連邦貯蓄銀行から融資を取り付けるのに奔走した。交付金の流れは、予算交付の補足令が承認されると、政府機関の裏書で同行が融資するという順序。ガウタマの中でも、不正入札を隠ぺいする書類作成に精通する者が少なかったようだ。
カミソリ作戦には、外国からも連警の手法に疑問を呈する声がある。政府機関の中に巣を張りめぐらす組織犯罪を取り締まるには、警察の構造改革が必要だという。治安目的の警察活動と組織犯罪を担当する課を別ける。犯罪組織の背後には、国際的組織があるので、水際作戦や銀行の資金ルートを含めた捜査網を構築する必要があるというのだ。