2007年5月26日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】サンパウロ州保安当局は犯罪多発地区に軍警を一定期間常駐させて犯罪者を追い出し、平和な新しい町作りの試みを開始した。
これまで警官のパトロールが手薄なのに乗じて麻薬密売などで地区を我が物顔で支配していた犯罪者を一掃し、教育やレジャー施設を設置して市民主導の町とするのが狙いで、市当局とNGO団体とともに住民との話し合いを基にプロジェクトを打ち立てた。
とりあえずサンパウロ市北部エリザ・マリア区で活動を開始、モデルケースとしたいとの意向を示している。同区には二カ月前から六〇〇人の軍警が常駐しており、市では街灯の設置や道路の補修、公園の建設、レジャー施設の設置を始めた。
州政府は保健所の新設、公立五校の改修および各校に十七台ずつコンピューターを配布する事を決めた。さらに職業訓練所や各分野の専門技術の講習を行う。このために住民一二八人の就職採用を決めた。
軍警が常駐している二カ月間、本来の目的である犯罪一掃作戦も展開された。この期間、指名手配犯十三人、脱獄囚十六人が逮捕されたほか、一万台の車やバイクが検問を受け、職務尋問や所持品検査を受けた住民は三万三〇〇〇人に上った。保安当局はこの二カ月間で麻薬組織は売上が減少して痛手を受けたはずだと一笑する。
アウキミン前政権時代には北部ジャルジン・エルバ区、ジアデーマ市モーロ・ド・サンバ区など八カ所の地区で犯罪組織掃討作戦が展開されたが、一回のみの尻切れトンボに終わっており、今回のような町作りは行われなかった。逆に警官の横暴に対する不満が今でも根強く残っている。エリザ・マリア区を一週間の間に二度も視察に訪れた州保安長官は、前回の轍を踏まず、住民との対話が肝要だとの認識を強調した。