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汚職で年15億レアルの損失=過去10年間で一向に減少せず

2007年5月29日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】公共工事をめぐる汚職事件が国内ニュースをにぎわす中、ブラジルは汚職により、数百万レアル単位の公共予算横流しのほか、間接的に年間一五億レアルの損失を被っていることが、スイス経済研究所の調査で明らかになった。
 同研究所のドレハー氏によると、汚職に伴い間接的に発生するコストにより、ブラジルの国内総生産(GDP)は年平均〇・〇八%失われているという。昨年は金額ベースで七億一五〇〇万ドル、国民一人当りでは二七〇ドルの損失となった。
 汚職は国のイメージを傷つけることで外国からの直接投資が減り、エリート階級が貧困対策となりうる予算を食いつぶし、インフラ整備、教育、平均寿命にまで悪影響を及ぼす。直接投資については、汚職の指数が一ポイント上昇すれば、関税を七・五ポイント引き上げる効果がある。
 世界銀行のカウフマン理事によると、ブラジルの汚職は電話、エネルギー部門で改善がみられたものの、全体的には過去十年間で一向に減少していないという。「汚職のひどい国は他にもあるが、中南米地域あるいは世界におけるポテンシャルを踏まえると、ブラジルは汚職を撲滅した国の仲間に入ろうとする努力が足りない」と同理事は述べた。
 ボツアナ、マダガスカル、チリなどの一部を除き汚職が減少に向かっていないのは世界的傾向で、一年間に支払われる賄賂は総額一兆ドルに達している。汚職を撲滅することで、長期的に一人当りの所得は三〇〇%増加し、乳児死亡率は六六%減少することを世銀の調査結果は示している。