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コラム 樹海

2007年5月29日付け

 アレクサンドリア沖でクレオパトラの王宮とされる建物が発見されTVで放映された画像を観た人々は、びっくりしたに違いない。もう何年か前の話だけれども、今も東シナ海では、中世の沈没船が中国や韓国の研究者によって調査されているし、1964年には南仏のアグド沖でBC5世紀にギリシャで作られた「アグドの青年」という青銅像が発見され大騒ぎになった▼湖沼や海底などの水中にある遺物や船などを調べる「水中考古学」という学問の功績によるものだが、沖縄でも古い都市であると見られる遺跡らしきものが見つかっているし、今も調査は続いている。今までの陸を中心にした考古学では見えなかったものが、水中に眠っている。クレオパトラ王宮にしても、湖沼の底や海中は生ける考古学博物館である▼日本の「水中考古学」はまだ水準が低いそうだが、それでも東海大学の茂在寅男教授のような素晴らしい調査研究もある。あの北條時宗が迎え撃った元寇の乱(文永・弘安の乱)で蒙古軍は神風によって博多湾に沈没したと書物は書くが、現地に赴き調べてみると、どうも違うと気づく。その結果、伊万里湾の鷹島沿岸ではないかと思い現地を訪れ古老や住民らの話を聞き、海から引き揚げた陶器なども見る▼そこで確信を強め漁民らの協力を得て海中を調べると、多量の蒙古刀・青磁・陶器壺・石弾・碇石などが見つかったという。つまり、歴史書の誤りを見つけたわけであり、これは大きい。まだ細部は詰めていないらしいけれども、こんな「夢」がいい。新しい学問であり難しいことがいっぱいらしいが「水中考古学」は楽しい。(遯)