2007年5月30日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】グロバリゼーションに関する国際ゼミが開催された。特に注目されたのは、労働問題の焦点である雇用と被雇用の関係が大きく変化し、新しい労働形態が生まれているということだ。
全員オーナーまたは全員共営者の生産インテグレーション組織が最近の傾向である。ここでは正規雇用も非正規雇用もないし、従来型雇用が崩壊しつつある。特にソフトウエアのような高度の技術を要する部門やサービスでは、この傾向が顕著である。
ブラジルでは今、この傾向が急ピッチで進んでいる。長い経済低迷時代への対処やインフレ対策、不確定時代の錬金術、理性に欠ける政治家の経済政策から逃れるための生活の知恵といえる。全員痛み分け制度の誕生である。
特にガイゼル政権末期からレアル・プランが設定されるまでの十五年間は、非現実的な労働法の犠牲になった企業が多い。企業は生き延びるため,人件費の削減に知恵を絞った。そのため正規雇用が急減した。その後企業の業績向上に伴い、設備投資や正規雇用も増えてきた。
全員共営者は、時代が生み出した新しい労働形態である。ここでは単なる労力提供の労働者ではなく、経営者資質か最先端技術の能力が問われる人材を要求している。資質のない者は組織の規律を乱すし、最終責任という意味が分からないからだ。