2007年6月1日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十一日】政府筋は懸案となっているマディラ川に建設する二つの水力発電所に対し、環境省の事前許可が三十一日に下りる見通しになったことを明らかにした。
このプロジェクトは第二次ルーラ政権の経済活性化計画(PAC)の目玉となるもので、エネルギー供給源の重要な役割を果たしている。しかしいっぽうでインフラ設備の着工には環境省の事前許可が必要だと法令で定められていることから、許可取得が第一関門となった。
政府としては年初にも許可を取得できるとの読みがあったにもかかわらず、同省の審査が長引いていることに不満を表明、ついにルーラ大統領が怒りを爆発させた経緯がある。
これを受けてロウセフ官房長官は、環境省の機構を二分させ、許可局を独立させて審査を早めるように工作した上で、マディラ水力発電所の審査期限を三十一日までとする焼刃をつきつけた。いっぽうでルーラ大統領が七日間にわたる英国、インド、ドイツの訪問を前に結果を報告するよう命じたとも伝えられている。
同官房長官によると、環境省からの政府への質疑書は二二ページに及ぶものだが、そのほとんどに回答を提出しているという。とくに重要とされているナマズの保護については、ゆるやかな斜面を造成して産卵期に他の水域に移動できるようにした。また土砂の運搬は環境インパクト計画案に基づき、業界コンソーシアムの施行方法が提出されている。
しかし環境省筋では、三十一日までの許可を確認しておらず、独自の姿勢を貫く方針を見せている。これにより省間の確執が生じるのは必至とみられている。
政府筋としては早急に入札を行わない限り完工が数年延期されることを危惧している。現にヴァレ・ド・リオドーセ社では二〇一二年以降のエネルギー供給が不透明との理由で今後の増設投資は控えるとの態度を表明しており、企業の不安をぬぐうためにもマディラ川の水力発電所の着工は政府の施工命令の様相を呈している。