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コラム 樹海

2007年6月1日付け

 最近「有機農業の推進に関する法律」(法律第112号)が日本でできたことを知った。昨年十二月十五日付官報(号外第281号)に掲載されていた。安倍晋三総理大臣と松岡利勝農林水産大臣の名で公布されている▼官報をみて、有機農業の名称はすでに著名なのに、法律がなければことは進まないのか、それにしても随分ていねいなことだ、と思った。法律は十五条から成る。目的、定義、基本理念、国及び地方公共団体の責務、推進計画、有機農業者等の支援、技術開発等の促進、消費者の理解と関心の増進、有機農業者と消費者の相互理解の増進、国の地方公共団体に対する援助、などだ▼定義のなかに有機農業は化学的に合成された肥料や農薬を使用しない、遺伝子組み替え技術を利用しない、とある。そして理念には農業の持続的な発展、環境と調和のとれた生産の増進を謳う。ブラジルにおいても、すでに一部の実践者から〃耳にタコができる〃ほど聞かされている。つまり解ってはいる▼国の責務も方針も計画も、さらに農業者に対する支援も条文どおり実践されれば、日本の有機農業は目に見える発展があるだろう。推進を目的としているので、もちろん罰則などはない▼ブラジルの場合、現在の農業の有り様からすれば、日本の法律の条文にもある有機農業者と消費者の相互理解の増進こそが肝要で、これなくしてはさきに進まない。要するに、有機農業は消費者が「育てる」のである。悪いものは排除するという態度である。(神)