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百年誌への反映も視野に=日系人実態調査=共通の調査票の使用を=アリアンサから呼びかけ

2007年6月2日付け

 アリアンサ移住地史編纂委員会の渡辺伸勝氏=日本在住=から、以下のような呼びかけ文が編集部に届いた。同地で行った日系人実態調査の調査票を、各地の同様の調査に役立ててほしいというお願いだ。調査を行うなら共通の様式で行えば地域ごとの特徴の比較もできるし、その結果がこれから編纂される百周年記念誌の地方編に反映されれば、より有意義なものになる。以下、全文を転載する。(編集部)

 日系人の人口や、日系人のポルトガル語と日本語の使用の割合、出稼ぎに行っている人数、産業の特徴などの話題になったとき、日系コロニアでは様々な憶測が飛び交い、曖昧な情報をもとに飛躍した話が繰り広げられることが多い。止めどない議論に終止符を打ち、日系人の実態を正確に語るには、組織的な実態調査が必要である。
 日系人実態調査といえば、古くから度々行われ、最近ではサンパウロ人文科学研究所が大規模なもの行っている。その時の調査票(作成者は森幸一氏=現在サンパウロ大学教授)に加筆修正を加え、アリアンサ移住地史編纂委員会では二〇〇六年に日系人実態調査を実施した。
 アリアンサの調査では、代表的なものだけでも、《1》日系人人口は減少し、少子高齢化が進んでいる、《2》世代が進むにつれてポルトガル語が優勢になっている、《3》ブラジル文化への同化が顕著である、《4》出稼ぎの正確な人数と、出稼ぎを送り出す家族が全家族数の約半分に迫っていること、などが分かった。
 ここで示された実態は、すでにアリアンサの住民にとっては印象として感じていることであり、さして驚くことは多くないものの、曖昧な憶測を排したアリアンサの正確な姿が記録されたことは、移住地にとって一つの財産となった。
 また、この調査に先立ち、〇二年人文研調査で使用されたものに加筆修正を加えた「調査票(日・ポ版)」、コンピューター入力用の「集計表」、さらには調査に必要な手続きをまとめた「調査マニュアル」を作成した。こうした資料を作成した理由は、アリアンサで今後も同じ手順で調査を実施するためであると同時に、他の日系移住地でも利用して頂くためだ。
 我々は、いくつかの日系人移住地が独自の実態調査を行っているという話を聞いている。しかし、各日系移住地の調査をもっと有効に利用し、日系社会全体の利益に資するためには、各地がバラバラな様式で調査を行うよりも、むしろ一つの調査様式に統一して調査を行うことが肝要ではないだろうか。
 我々が提案する調査様式は、すでにペレイラ・バレットが採用を決定し、バストスでも検討に入っている。また、それ以外にもいくつかの移住地から打診を受けている。もし、現時点で実態調査を企画している移住地があるのなら、我々が提案する調査様式の利用をご考慮いただきたい。
 現在、百周年記念協会によって移民百年史編纂・刊行事業が進められている。この調査票を利用する地域が広がれば、各地のデータを数年後に発刊される「移民百年史」の一部としてさらに有効に利用してもらえるだろう。
 ブラジル日本人移民百周年を目前に控えた今こそ、統一的な日系人実態調査を行う時が来ているのではないだろうか。調査票は日・ポ語版を用意し、調査の実施に関わる資料は全て無料にて提供している。ご要望はアリアンサ移住地史編纂委員会まで。
【連絡先】矢崎正勝 
Associacao Comunidade Yuba Bairro 1a Alianca C.P.531 
Mirandopolis, CEP:16830-889 Sao Paulo
Tel.(018)3708-1247 / E-mail:masayuba@itelefonica.com.br