2007年6月2日付け
「肥後モッコス」は、意地っ張り、頑固者の方言だが、あの県にはちょっと破天荒な政治家が多い。天草の村長から代議士になり外相として活躍した故・園田直氏は、衆議員になるや労農党の松谷天光光さんと「白亜の恋」に燃え電撃結婚したのは今も語り継がれる。故・大麻唯男氏という人もいたし、足利幕府の重臣に繋がる細川護煕氏は、あれっという間に総理大臣。その後、さっさと退陣し目下の趣味は陶器造りだそうな▼先に自殺した松岡利勝農林水産大臣も、やっぱり「モッコス精神」を貫いた生涯だった。不明朗な光熱水費を責められると「なんとか還元水」と意味不詳の発言をし、汚職の「緑資源機構」に関係した談合会社からの献金も問題化しており、客観情勢は八方塞であって「生」か「死」をと悩み抜いたに違いない。だが―である。死屍に鞭打つ気は毛頭ないけれども、自裁と数多くの疑惑はまったく別の問題であり、きちんとけじめをつけるのが―筋である▼あるいは、農林官僚として育った松岡氏には「談合は悪」の意識が無かった。あるいは薄かったのではないか。鳥取大学農学部から農林省に入ったのだが、恐らく―技術系のエリートであったと思う。あの省の農林次官には文科系が就任するのが決まりであり、技術系は局長で退官するのが普通である。しかし、技術系が支配する局の予算配分や許認可権は多く、それに付け入った格好の汚職が起きたのも最近のことである▼和歌山、宮崎など官僚出身の知事が談合汚職で逮捕されたように、松岡農水相の疑惑も、官界という「魔の巣窟」から出てきたの気もする。 (遯)