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2年間に司法官140人退任=連邦監察庁=内規違反は808人=疑惑あるも年金は受給=免職はわずか5人

2007年6月5日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】連邦監察庁は三日、二〇〇五年六月に同庁の外部監査制度が設けられて以来一四〇人の司法官が退任させられ、内部監査制度の行われていた二年間と比べ四一・二%増えたと発表した。内訳は九人が連邦裁判所司法官、一〇七人が地方裁判所司法官、二十四人が裁判所職員。また二十六人は、司法官特権を失う前に定年退職願いを申請した。司法官の犯罪が立件された場合は、司法の尊厳に対する冒とくとみなし、恩給と特別手当をはく奪する。司法官で恩給はく奪の懲罰を受けた司法官は〇・〇三%と少ないが、内規違反は過去二年間で八〇八人に達した。
 同監察庁が報告書を発表したのは、初めてである。これは、飯炊きのために飯炊きを雇ったようなものである。裁判官の犯罪は、広範囲に浸透している。罰則はけん責に始まって、戒告、更迭、左遷、待命、辞任、免職とある。
 同監察庁の前身は、法務委員会であった。外部監査システムを〇四年十二月三十一日に導入し、監察庁として発足した。始動したのは〇五年六月。それから〇七年六月までに裁判官の不正は、それまでの八十二人から一四〇人へと四一・二%も増加した。
 報告書で注意を惹いたのは、司法官が監察庁の調査をごまかすために使用する供託年金というトリック。年金は使いながら、手つけずの受け取り分とする。この手口で二十六人が、罰せられるもようだ。
 同庁のリベイロ長官は、不正を立件された司法官への年金支給に反対する声明を発表した。ブラジルには現在、一万六五〇〇人の司法官がいて免職されたのはわずか五人である。定年間近となり不正疑惑のある司法官は、検察庁が審査をする。しかし、判決は地方裁判所が下す。同じ穴のムジナたちである。
 裁判所の内規に抵触した司法官八〇八人のうち、六四七人は州の地裁だ。サンパウロ州が一六一人で最も多い。過去二年間で最も多い処罰は、けん責で五十人、前回は二十八人。次に戒告で二十八人。前回は二十九人。二十人は疑惑がかけられたまま年金を受給している。
 リベイロ長官が、司法官は高給取りであり犯罪の動機がカネではないと述べた。それでもカネがまだ欲しいなら、司法官を辞めて弁護士になるべきだという。しかし何故か退官後は、メーソンやNGOなど畑違いの分野に精を出す司法官が多い。
 監察庁は裁判のノロノロ審理に頭を悩ましている。適宜抽出の一〇〇件の裁判で最長記録が三十二年、平均で二十七年となっている。ノロノロ審理の五〇%は、裁判制度に定められた期限が長過ぎるためと同庁はみている。これは改革すべき裁判制度の一つだ。
 ハリケーン作戦で俎上に上がったリオデジャネイロ州高等裁のジョゼ・C・アウヴィン判事とジョゼ・S・レゲイラ判事には、司法官二〇〇人から賭博業者へ便宜を図っているとして連署の抗議があった。両判事は州高等裁の最古参であり、昇格や降格、左遷を巡って司法官の間で水面下の熾烈な戦いがあったらしい。