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この恨み晴らさずに…=高まるパラグアイの反伯感情

2007年6月6日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五月二十五日】パラグアイのドアルテ大統領は二十一日、ルーラ大統領を迎えて「ブラジル政府が公式にパラグアイへ関心を寄せてくれたのは、初めてのこと」と歓迎の辞を述べた。この言葉の裏には、積年の恨みが込められているとサ紙が論説を掲載した。
 両国の声明には、パラグアイの経済発展で一八項に上るブラジルの経済協力が盛られた。しかし、これまでの域内交渉でメルコスル加盟弱小国を継子扱いにしたせいで、パラグアイ国民の反ブラジル感情が限界にあることを大統領始め同行者が肌に感じた。
 反ブラジル感情は、パラグアイだけでなくボリビアやベネズエラ、エクアドルにも潜在的に定着し、晴天のへきれきのように暴発する可能性がある。国民のふんまんが突破口を求め、過激な煽動者の出現を期待している。煽動者は国民のリーダーとして自国の存在を示威し、積年のうっぷんを晴らせばよいのだ。
 都合の悪いことは全てブラジルの責任にする。パラグアイにおける反ブラジル感情は、長い歴史がある。パラグアイの政府系新聞「ABCコーロル」は、ルーラ大統領の訪問に先立ち第一面で毒舌を吐いた。イタイプー協定は恥辱協定で、ブラジル政府は情け容赦なく同国の資産を奪い、パラグアイ国民に怒りと憎しみを植え付けたという。
 ブラジル政府当局者は、植民地主義の搾取主義者だ。イタイプー発電所から電気エネルギーを盗みとり、見返りに遺恨を提供した。パラグアイの国家主権を回復するには、暴力しかない。パラグアイ国民は、ブラジルにじゅうりんされたことを決して忘れるなと訴えている。
 パラグアイは、ストロエスネル大統領が失脚してから政治が一変した。これまで野党であった過激派の民族主義者が台頭し、密輸業者や海賊版製造業者の資金援助を得て、選挙での勝利と政権獲得へ努力をしている。パラグアイは、反ブラジル感情で確実に票を伸ばしている。
 ドアルテ大統領は、パラグアイ流の公平で平等のイタイプー協定見直しを要求した。これは、野党の要求に応じたものと思われる。パラグアイ政府はブラジルへ送電した電気料金の調整要求はしたが、協定の見直しはいわなかった。ブラジル政府は、パラグアイに盛り上がる反ブラジル感情の嵐に備える必要がある。