2007年6月9日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】独ハイリゲンダム・サミット(主要国首脳会議)にオブザーバーとして特別招待されて出席しているルーラ大統領は七日、同会議で気温上昇の抑制や温室効果ガス削減などの具体的数値目標の合意が先送りとなったことに関連し、強い不満を表明するとともに主要先進国を批判する発言を行った。
ルーラ大統領は同じく招待されている中国、インド、南アフリカ、メキシコのいわゆるG―5の代表団と会合を開いた後で記者団と会見し、ブッシュ政権の主導で温室効果ガスの世界的排出量を二〇五〇年までに五〇%以上削減するための長期的目標策定が必要との認識で一致したことに対し、ブッシュ大統領の「勝手な見解」だとした上で、これでは二〇四九年まで誰一人として真面目に取り組むものはないと決めつけた。
その上でこの先五十年間で公害は荒れるにまかせるのかと疑問を投げかけ、これまで地球を破壊してきた先進国がその責任を全うすべきだと糾弾した。
さらにサミットメンバーのG―8(ドイツ、イタリア、フランス、英国、米国、日本、ロシア、)諸国が、地球温暖化は開発途上国の対処が鍵を握るとして、これらの国の独自の対応を促す姿勢を示しているのに対し、ルーラ大統領はいかなる圧力も受け入れないとの強硬な態度を示した。一方、中国が世界最大の公害国と名指しされて反目しており、ブラジルは中国と歩調を合わせることになる。
ルーラ大統領はこれに関し、金持ち国(先進国)が排ガスの六〇%を排出していることは衆目の一致するところであり、途上国は彼らが歩んだ道を、貧困撲滅を解消するために歩んでいるものだとし、先進国が責任を負うべきだとの考えを強調した。