2007年6月12日付け
【時事】主要国首脳会議(サミット)を構成する八カ国(G8)首脳は八日、中国、インド、ブラジルなど新興五カ国首脳との拡大会合を開き、地球温暖化問題を中心に意見交換した。主要国側が温室効果ガスの排出量を「二〇五〇年までに地球規模で少なくとも半減させることを真剣に検討する」とした合意内容を説明したのに対し、新興国からは「開発途上国が目標設定を受け入れるのは次期尚早だ」などと難色を示す発言が相次いだ。
会合で新興国首脳は、温暖化への責任問題に関連し、国連の気候変動枠組み条約が途上国について規定している「共通だが差異のある責任」の原則を強調。主要国との対話継続には同意したものの、先進国と同じ長期目標や排出削減責任を持つことは「不適切だ」と反発した。
主要国側は、新興国も大量の温室効果ガスを排出している事実を挙げ、世界二位の中国や五位のインドなど主要排出国には一定の責任があると指摘。安倍晋三首相も「差異のある責任」に理解を示しつつ、「主要排出国が参加する実効性のある枠組みが必要だ」と述べ、日本が省エネ努力で石油危機を乗り切ったことなどを紹介した。
拡大会合には、新興国から中国の胡錦濤国家主席、インドのシン首相、ブラジルのルラ大統領らが出席した。
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙九日】一方、拡大会合後の記者会見でルーラ大統領は、新興国の議論内容を主要国が首脳会議で汲み取れるよう、サミット開催前の新興五カ国首脳招待を提案した。今回は、G8の最終文書が承認された翌日の八日に五カ国との拡大会合が開かれており、議長国ドイツと新興五カ国は、最終文書とは別の文書を承認した。ルーラ大統領は、地球温暖化対策における責任の所在と、知的財産保護では環境保護と保健政策に配慮しつつ進める点で、二つの文書には矛盾があると批判した。