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雇用創出には投資促進を=PACより減税が効果的

2007年6月13日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】六四〇万ヘクタールのサトウキビ収穫で、産地は人手不足だという。これは、投資が予想外の雇用を創出したからだと思われる。過酷な条件下で就労するサトウキビ季節労働者の給与待遇も、改善されているらしい。
 待遇改善が行きわたるには、長い時間がかかる。まず機械化で大量生産に貢献する収穫機オペレーターが恩恵に浴する。オペレーターが収穫毎に受け取る所得は、山鎌でサトウキビを収穫する季節労働者の三倍になるようだ。
 ブラジルでも一九七三年、六年間にわたって現在の中国並みの経済成長率一〇%以上を保持した時期があった。サンパウロ市でも人手不足となり、先輩と同額の給料で新人を雇えなかった。現在のサトウキビ地帯のようだ。それから事情が一変し、現在まで経済は冬の時代で懊悩している。
 経済理論によれば、ブラジルのような経済が停滞している国では、多くの労働者が非現実的な薄給で働かねばならない。このような状況下では生活扶助制度や老齢年金が一時しのぎとして効果があるが、この涙金は受給者から自立心や労働意欲を奪い、依存心の強い人間たちをつくる。
 低率経済成長の時代には、例外を除いて飛躍のチャンスが少なく、諦めと無気力が定着する。このような場合には、雇用を増やす投資が必要だ。資本財メーカー、サービス業、病院、インフラ部門、大農場などだ。しかし、重税のために全産業が萎縮し、企業の投資は低調だ。
 ブラジル地理統計院(IBGE)の発表では、投資が国内総生産(GDP)の一六%に留まっている。投資の必要がない完成した先進国よりも低い投資率である。ブラジルのような途上国であるインドでは三〇%、中国は四〇%もある。
 ルーラ大統領は四年かかって投資が必要なことをヤッと悟ったらしい。それで掲げたのがPAC(経済活性化計画)の旗である。だけど官民挙げての投資促進には、PACの内容が貧弱で説得力に欠ける。国民に重税という手かせ足かせをはめたまま、ムチを打っても無理ではないか。
 国民の血税で政府は経費垂れ流しを続け、肝心の労働法の改正や社会保障制度改革はしない。そんな中、サトウキビ畑で人手不足とは、干天の慈雨ではないか。ブラジルはようやく痩せ牛の時代が終わり、肥え牛の時代が到来したらしい。この機に好運の波に乗ってはどうか。