2007年6月14日付け
移民百周年をテーマにすることを正式決定したサンバ校ヴィラ・マリアの住所はサンパウロ市北東部ジャルジン・ジャポン。ヅッツラ街道の反対側には日伯友好病院がある▼すぐ近くには日本広場、帝広場、有栖川通り、東郷通り、侍通り、広島通り、娘通り、芸者大通り、江戸広場、東京広場、大阪通り、京都通り、大和通り、中沢源一郎広場などがあり、日本にちなんだ地名がこれだけ集中している地区は世界的にみても珍しい。日本移民をテーマにするのに相応しい来歴のあるチームと言えそうだ▼「昔の大地主が親日家だったので通りに日本の地名を付けた」との説もあるが、一般に地域で一番古い建物である教会が、日本に初めてキリスト教を広めたことで有名な聖フランシスコ・ザビエルの名を冠していることから敷衍して、このような地名が付けられ始めた可能性もある。教会のすぐ横には天使(Ten-shi)広場も。誰か学術的に調査して断定してくれる人はいないものか▼ちなみに昨年はザビエル生誕五百周年だった。それと前後して、六六年に日伯小教区本部が創立されてから長いこと日本移民に由緒ある教会として公認されてきたサンパウロ市の聖ゴンサーロ教会が一般ブラジル人向けになったのは、不思議な歴史的符丁か▼聖ゴンサーロは一五九七年、豊臣秀吉の命令によって長崎で処刑された二十六聖人殉教者の一人。インド生まれのポルトガル人宣教師で「ポ語より日本語の方がうまい」との評判だったとか▼今週から始まった移民史料館の企画展はまさにその良例だが、今のうちに様々なことを調べて記録に残す必要性を痛感する。(深)