2007年6月16日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】テレビ局グローボは十四日、カリェイロス上院議長(ブラジル民主運動党=PMDB)が養育費の立替疑惑を晴らすために上院倫理委員会へ提出した証拠書類が偽造文書であると告発した。実娘養育費の出所とされる牛の売却伝票を発行した企業は、当局から不正を指摘された休眠企業である。同議長が提示した六企業のうち二企業は、購入伝票控えを紛失し、四企業は上院議長との取引を否認した。上院議長の疑惑審理取り下げがほぼ決まった上院倫理委員会に対し、野党は表決の先延べを求め圧力をかけた。
上院倫理委員会は、同議長がメンデス・ジュニオール建設会社による養育費立替を否定し、資金の出所を証明した牛の売却伝票による釈明を是とした。上院倫理委員会は、審理無用の決着をつける方向でほぼ固まっていた。文書偽造告発は、最終便に間一髪で届いた最後の切り札が疑惑の新たな展開となりそうだ。
新たに提起された疑問点は六つ。一、実娘の認知前、同議長は愛人に生活費を銀行振替で払ったのか、現金で払ったのか。それから資金の出所。二、上院本会議では、なぜ実娘認知後の養育費に関する証拠書類だけを提示したのか。三、同議長はなぜ、実娘認知前の支払を証明する術がないと本会議で証言したのか。
四、なぜ銀行口座明細が同議長の預金であることを証明できるのか。なぜ明細書が、上院の廊下で手渡されたか。五、牧場を経営し畜産業を営み実娘の養育費捻出が事実なら、なぜ土壇場まで事実を公表しなかったか。六、上程者のカフェテイロ上議(ブラジル労働党=PTB)は、なぜ愛人の証言を拒否し、倫理委員会の審理取り下げを強引に画策したか。疑惑は波紋を広げた。
グローボのジョルナル・ナショナルは、同議長の周辺を浮き彫りにした。上院議長から牛を購入した企業は、購入伝票の控え紛失を演出し、架空取引の証拠隠滅を図ったとみられる。他の業者は取引を否定した。または伝票発行日が合致しないのもある。上院へ提出した伝票だけ後日、日時を合わせたとみられる。同議長所有の牧場使用人は、飼育中の牛が売却期にないと証言した。
上院倫理委員会は十五日、自由社会党(PSOL)の上院議長に対する倫理抵触の審理要請を受理するか否かを表決する予定であった。上程者カフェテイラ上議の握り潰し工作に対し、倫理委員のトーレス上議(民主党=DEM)は表決先延べを求めた。
上院倫理委員会では、労働者党(PT)とPMDBの委員だけが早期決着を求めた。ほか連立与党と野党は、テレビ報道について上院議長の釈明を求めることにした。同議長の牛売却は事実であったのか、書類の上でねつ造した牛売却であったのか。
牧場で飼育されている牛は、衛生管理や飼育状況、購入売却の銀行操作について国家管理が行われ、牛の売買は屋台の叩き売りとは違う。ヤミ取引は別として、牧牛の取引には複数当局の検閲書類が付いて回る。それをどこで口合わせしたか、これからあぶり出されるらしい。