ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 角膜移植で公費ムダ遣い=約3割は摘出後に処分

角膜移植で公費ムダ遣い=約3割は摘出後に処分

2007年6月19日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十八日】法律の不備により、連邦政府は移植できない角膜の摘出に多額の公費をつぎ込んでいる―。看護地方審議会(Coren)が今年二月にサンパウロ州検察局に対して行った告発により、そうした実態が明らかとなった。
 保健省によると、昨年角膜移植を目的に摘出された角膜は一万五〇〇〇枚で、そのうち五〇〇〇枚は提供者がエイズや糖尿病、その他感染症にかかっていたため、移植されずに処分された。全国では約三〇%、サンパウロ州では角膜の半数以上が摘出後に処分され、アイバンクによっては、処分された割合が七〇%に達しているという。
 政府は、角膜提供者の遺族への協力金、角膜検査などの費用として、角膜二枚当り一四〇〇レアルをアイバンクに支給しており、総額は昨年二一〇〇万レアルに上る。うち三〇%が処分されたとすると、六三〇万レアルが浪費されたことになる。
 こうした事態が発生したのは、移植を規制する法律が角膜の移植段階で適用されても、提供者から角膜を摘出する段階では適用されないため。同審議会は、摘出を行うスタッフは提供者の条件にかかわりなく、角膜はすべて摘出するようアイバンクから指導され、摘出を増やすことだけが目的化されていると警告している。
 一方、保健省や移植センター、アイバンクでは、摘出後の検査前に角膜が移植に適切かどうか判断するのは多くの場合困難とみなしている。
 サンパウロ州政府は今年五月、移植が不可能な病気で亡くなった提供者から角膜は摘出しないことを決定、衛生監督庁も法律の見直しを検討するチームを立ち上げ、年内には改正案を公聴会に諮るとしている。
 毎年一万二〇〇〇人が新たに角膜を必要とする一方で角膜移植手術を受けるのは一万人に留まり、現在二万五〇〇〇人が提供を待っているという。