2007年6月20日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の主要四カ国(G4=アメリカ、EU、インド、ブラジル)による予備交渉が十九日からドイツのポツダムで開催されるが、代表として出席するアモリン外相は十八日、成果はさほど期待できないとの考えを示した。その上で世界市場解放を求めて数々の圧力をかけている国内輸出業者に対し、過大な期待を抱かぬよう釘をさした。
ドーハ・ラウンドによる貿易協定は過去数年間、加盟一五〇カ国の思惑が異なり、妥協を見ることなく空転が続いてきたことから、重責を担うG4が五日間の協議で決議に至った上で、年内に全世界の貿易協定の確定にこぎつけたいとしている。
テーマは六年前と変わりなく、農産物や工業およびサービス部門などの広範囲にわたる市場解放だが、アモリン外相は今回の会議で、EUの農産物関税の引き下げおよびアメリカの農業補助金削減で合意に達したら大きな成果だとの考えを強調した。
EUの農産物関税に対し、発展途上国は七五%の品目の引き下げを要求しているが、アモリン外相は五〇%の線で落ち着くとみている。その上でドーハ・ラウンドはあくまでも線引きであり、その後、二カ国間協定で具体的に煮つめる所存だとの見解を示した。
またアメリカの国内農家に対する補助金は昨年の交渉段階で二二五億ドルを上限とすることを表明しており、今回は二〇〇億ドル以下にすることが可能だとの見方をしている。
反対に欧米からブラジルの工業部門の関税引き下げによる市場開放を迫られているのに対し、いかに対処するか注目されている。これまでは保護関税は最高で三五%だったのが一四・五八%への引き下げが要求されている。これにより三四三七品目が引き下げの対象となる。
また新たに五四八〇品目に対し、一〇・五%とする動きがある。アモリン外相はドル安および重税で不況に陥っている工業界に追い打ちをかけるものだとして阻止する方向で協議する。政府は上限を一六・一五%として、対象を二四七四品目にとどめたいとしている。