2007年6月20日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】地球温暖化が世界的問題となる中、ブラジルの工業部門は連邦政府に先立ち、温室効果ガスの削減に向けて取り組みを開始した。
サンパウロ州工業連盟(Fiesp)とサンパウロ州工業センターは数カ月かけて行った議論の末、二酸化炭素などのガスの排出削減、エネルギー効率の上昇を目指した技術革新・研究への投資、温暖化対策の必要性の社会への啓発を盛り込んだ温暖化対策案をまとめた。
同案は先週開かれた「第一回ブラジル工業界環境会議」で承認され、続いて全国工業連盟(CNI)が連署する見通し。同案では削減の数値目標は設定されていない。
ブラジル政府は二〇〇二年、二酸化炭素はじめ温室効果ガス削減を取り決めた京都議定書を批准したが、先進国と違ってブラジルなどの新興国は温暖化対策を義務付けられていないため、政府は何ら対策を講じず、工業界もまた重い腰を挙げようとしなかった。
しかし、今月初めに開催された主要国(G8)首脳会議では、二酸化炭素排出量のほぼ半分を占める新興国への風当たりが強まり、二〇一三年以降、新興国も数値目標設定を受け入れるべきとする国際世論も高まりつつある。そうした将来を見越して、工業界では増大する環境対策コストの分散化など、先手を打っておきたい考えだ。