2007年6月21日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】連立与党ブラジル民主運動党(PMDB)の有力議員であるペードロ・シモン上議は十九日、カリェイロス上院議長に対して意見する考えはないが、上院の尊厳を考慮して自ら辞任するのが妥当であると上院本会議で公言した。上院議長の留任は、上院が笑い話のタネになると同上議が苦言。実娘養育費の出所という牛の売上伝票と小切手を調査した連邦警察は、合法性の疑わしいものと発表した。これで労働者党(PT)の一部上議と連立与党、野党ブラジル民主社会党(PSDB)と民主党(DEM)の上議が、議長の放免黙認を不本意とする方向へ流れが変わった。
上院議長が上院倫理委員会へ提出した資金の出所に関する証拠物件は、連邦警察が合法性を証明できないため、偽造の可能性が生じた。これで上院の流れに変化が生じ、上院議長によるラランジャ(名義賃貸人)の起用も新たな疑問となった。上院議長の放免に賭けた上院倫理委員会の特殊部隊は十九日、脆くも戦闘態勢が崩れ始めた。
告発受理に対する上院倫理委員会の表決を二十日に控え、PTのスプリシ上議やボテーリョ上議、連立与党上議などが、告発取り下げに異を唱え始めた。愛人のお手当てに端を発した資金の出所事件は、たかが女一人で済まなくなった蜂の一刺しといえそうだ。
カリェイロス上議は議長留任に固執するが、上院内は議長休職の大合唱が響きわたった。さらに国税庁は、議長の牛を購入したラランジャの身元確認を行った。売却した牛と購入した牛の頭数は合致しなかった。そのため実娘の養育費出所として立証できなかった。
シモン上議は上院議長に誤解を招く行動があったことを遺憾とし、告発を強引に取り下げようとした倫理委員会に警告を発した。同事件に対し国民は事実解明を求めたのではなく、強制したのだと訴えた。これで倫理委員会が一斉に看過から後退した。
これまで駆け引きは上院議長が優勢であったが、十九日、倫理委員会の支持を失ったことは痛手といえそうだ。カフェテイラ上議の上程者辞退後、マッシャード委員長は後任のなり手がなく困っている。
上院議長は不明資金の出所を隠ぺいするために所得水増しを行った。そのため議員経費引当金を加算したが、この引当金は所得ではない。議員の家賃や車両燃料費などに充当されるもので、支払伝票を要求され、課税対象とならない。
アラゴアス州ムリシ郡にある上院議長所有のサンタローザ農場で飼育していた牛は十九日、二〇〇頭減っていた。これは売却したのではなく隣接の弟オラーヴォ・カリェイロ下議所有の農場へ移したと思われる。隣接農場は二週間前、航空写真を撮影したときより五〇〇頭増えた。
上院議長の二〇〇六年度所得税申告によれば、一七四二頭の牛がいた。そして同年七八四頭を売却したというが、牛はまばらで九五八頭などとてもいそうになかった。牛の売却期と購入期は時期が一定している。ムリシ市の一市議は、上院議長が議会証言に従って隣接農場との間で牛を移動し、口裏合わせを行っていると告発した。