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上院議長審議へ方向転換=倫理委=レナン体制に亀裂=弁明と書類内容にズレ=議長「辞任はない」

2007年6月22日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十一日】上院倫理委員会は二十日、カリェイロス上院議長(ブラジル民主運動党=PMDB)に対する倫理抵触審議要請の棄却を取り止めた。上院議長が実娘の養育費を牛の売却で捻出したとする証拠書類は、連邦警察が信ぴょう性の疑わしいものとしたからである。農場収入一九〇万レアルのうち一〇〇万レアルは、二〇〇三年から売却した牛一〇六〇頭の代金で、これを養育費に充当したと議長は弁明をした。倫理委員会のみそぎを受けるという、議長に対する上院の要求は動かないものとなった。
 カリェイロス上院議長は、辞任要求に続き、倫理委員会の離反と二回戦も連続敗退となった。さらに上程者カフェテイラ上議の後任に指名されたサウガード上議(PMDB)も、倫理審議が同委員会の権限範囲を超え、収拾がつかなくなると上程者の辞退を表明した。
 集中砲火を浴びる中、議長による上院運営は不可能と見る者が上議には多い。これまで議長陣営の一人と見られたペレイラ上議(PMDB)は、事態はもはや議長個人に対する不当告発ではなく、上院の尊厳を愚弄する流れに変わっていると警告し、レナン体制に亀裂が入ったようだ。
 倫理審議取り下げで合意していた上議の主な面々は、表決延期となったことで合意が白紙となった。同件を早々に片付けようと考えていた与党は、連警や最高裁の見解も考慮する必要が出てきた。
 連警は、上院議長の供述と提出書類に食い違いがあるとして、再調査の時間を求めた。牛の売却伝票には二二一三頭の牛と記載されているが、衛生検査書には一七〇二頭とあり、さらに五四九頭は議長の牛ではなく、母親と妹の牛である。
 母親や妹の牛を除けば、自分の牛として売却した分は一一五三頭にしかならない。養育費と愛人のお手当てに月一万二〇〇〇レアルを支払った根拠となる、農場収入一九〇万レアルには遠くおよばない。
 議長提出の売上伝票八八枚にはねつ造の形跡がある。十枚は日付がとんで合致せず、書き直しがしてある。控えには日付がなく、提出伝票にだけ日付を記入して口合わせをした。伝票の牛出荷地があいまいなため、牛は議長の農場から出荷されたものでなく、伝票だけの出荷可能性もある。
 銀行の預金は牛の売却と合致しないため、牛以外の収入の可能性がある。また流通税を脱税した可能性もある。小切手と領収証の日付はバラバラで、伝票のない場合や休眠企業との取引など、後日に急きょ書類を作成した可能性がある。
 サウガード上議が、農場はブラックホールのようなもので事業家は脱税の抜け道に利用するから、連警がいじればいじるほど迷路にはまり込むという。
 上院議長は「私の辞書には、辞任という言葉がない」との声明を発表した。やましいことは一切ないし、はらわたの中をも開いて見せる。事実誤びゅうも甚だしく、全てはマスコミによるリンチだと議長は訴えた。